アフリカは長距離という「認識を変えたい」 100mで世界の2位、ボツワナの20歳が拓く短距離新時代【世界陸上】
ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。
ブダペスト世界陸上連載「陸上界の真珠たち」第6回
ブダペスト世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられている。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けていく。
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第6回は、20日(日本時間21日)の男子100メートル決勝で銀メダルに輝き、同種目でアフリカ勢初となる表彰台に上がったレツィレ・テボゴ(ボツワナ)。長距離ランナーのイメージが強いアフリカの「認識を変えたい」。終始控えめな語り口だったが、20歳の青年には熱い思いが宿っていた。(文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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ボツワナ国旗を両肩にかけてミックスゾーンに現れたテボゴ。しかし、彼が背負っていたのはそれだけではなかった。
大激戦となった男子100メートル決勝。9秒83で金メダルを獲得したノア・ライルズ(米国)に続き、3人が9秒88で並んだ。号砲直後から先頭争いを展開したテボゴは9秒873。3位ヒューズ(英国)の9秒874、4位セビリア(ジャマイカ)の9秒877を1000分の1秒単位の差で上回った。
1983年に始まった世界陸上。40年の歴史上、初めてアフリカ勢が男子100メートルのメダルを手にした。長距離が強く、今大会でも女子1万メートルはエチオピア勢が表彰台を独占。男子の同種目でもウガンダ、ケニア、エチオピアの3か国が5位までを占めるなど存在感は揺るがない。
陰に隠れがちなアフリカンスプリンターたち。その状況に待ったをかけたのが、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)に憧れる20歳のテボゴだった。歴史的偉業を成し遂げたにもかかわらず、取材時は終始穏やかで控えめな印象。しかし、胸に秘める思いは熱い。
「アフリカは長距離、という認識を変えたい。素晴らしい短距離スプリンターがいると示したい」