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サニブラウン、「1mmずつ」の成長で届いた世界の6位 高校時代の夢は「揺るがない」【世界陸上】

決勝後にポーズをとって笑顔を見せるサニブラウン【写真:奥井隆史】
決勝後にポーズをとって笑顔を見せるサニブラウン【写真:奥井隆史】

「ここまで来たら近道はない。一日、一日を積み重ねて結果を」

 16歳だった2015年、世界陸上初出場。高校時代に「世界一」の夢を掲げた。「そこに関しては揺るがない」。米フロリダ大に進学。英語のアクセントに悪戦苦闘した。向こうの大学は勉強も疎かにできない。一時は腰椎ヘルニアに苦しみ、21年東京五輪は100メートルの出場権を逃した。200メートルは予選敗退。どんな不遇の時でも、決して目標は曲げなかった。

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「去年、世界陸上で決勝に行った。ここまで来たら近道はない。一日、一日を積み重ねて、その結果を試合で出すことが大事。そうやって毎年1ミリ、1ミリ世界一に近づいていく。いつになるかわからないけど、近年でその舞台に立ちたい」

 誰しも諦めそうな時はある。日々を乗り越えるための精神力を支えたのは周囲の存在だった。「掲げてきた目標がより強固になり、目標が自分だけのものじゃなくなった。日本の陸上界を代表する選手になってきた。見てくれる人に恥のないように」

 今季は6月の日本選手権決勝で左脚がつり、まさかの最下位(8位)。参加標準記録を突破できず、なんとかワールドランキングで代表権を手にした。代表落ちの可能性もあったが、「コーチを信じてしっかり練習していただけ」とブレない。「しっかりプランニングされているので、コーチのプラン通り」。焦りはなかったかという問いに「はい」と事もなげに即答した。

 決勝は序盤の走りから40~60メートルへスムーズな動きを繋げられず。伸びを欠き、終盤で上位に引き離された。これができれば「9秒90台前半か80台は出ると思う」とメダルへの道筋は明確。金メダルのノア・ライルズ(米国)は9秒83、2~4位は9秒88だった。課題を埋めれば、「陸上100メートルの日本人メダリスト」という夢のまた夢のような言葉が現実になる。

「去年に比べて冷静に余裕をもって決勝に入ることができた」と感じられたのも、1ミリの成長のうち。「あとは練習でやっていることを予選、準決で出せたので、決勝もやるだけ。それができなかったのが敗因」。次の1ミリもすぐに見つけ出した。

 2大会ぶりのメダルが期待される4×100メートルリレーもメンバー入り。早くも来年パリ五輪の参加標準記録も突破したが、「そういえば切ってますね」と通過点だった。

「他の選手たちを見ていると、決勝でもう1段階ギアを上げてくる。それができないと勝てないと今年も身に染みて感じた。練習でやっていることを大舞台でいかに出せるかが鍵。メダルは手に届きそうなところまで来ているので、そろそろ掴みたい。1位に近づいてるんで、そのうち」

 昨年の決勝直後は「メダル獲ってないんで」と関係者から渡された日の丸をあえて掲げなかった。それは今年も同じ。1ミリずつ成長した先に喜びがあることを、誰よりも信じている。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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