ラグビーが「難しくなっている」 1試合で6回のTMO、リーグワン名勝負から考える最適な運用法
日本のラグビーシーンはリーグワンが5月20日の決勝戦で幕を閉じ、6月12日から日本代表合宿がスタートするなど、ファンの関心も9月に開幕するワールドカップ・フランス大会へと移っていく。2シーズン目を終えたリーグワンは、初優勝を遂げたクボタスピアーズ船橋・東京ベイの躍進や、代表入りも果たした新人賞のCTB(センター)長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、相手防御を最も突破したベストラインブレーカー賞を獲得したWTB(ウィング)木田晴斗(S東京ベイ)ら若い力が熱戦を盛り上げた一方で、準決勝のS東京ベイVS東京サントリーサンゴリアスでは、終了目前のあわや逆転というプレーがTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)と呼ばれるビデオ判定によって「ノートライ」となった。
リーグワンPO準決勝2試合で多発したビデオ判定、関係者や選手に聞いた本音
日本のラグビーシーンはリーグワンが5月20日の決勝戦で幕を閉じ、6月12日から日本代表合宿がスタートするなど、ファンの関心も9月に開幕するワールドカップ・フランス大会へと移っていく。2シーズン目を終えたリーグワンは、初優勝を遂げたクボタスピアーズ船橋・東京ベイの躍進や、代表入りも果たした新人賞のCTB(センター)長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、相手防御を最も突破したベストラインブレーカー賞を獲得したWTB(ウィング)木田晴斗(S東京ベイ)ら若い力が熱戦を盛り上げた一方で、準決勝のS東京ベイVS東京サントリーサンゴリアスでは、終了目前のあわや逆転というプレーがTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)と呼ばれるビデオ判定によって「ノートライ」となった。
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TMOはこの試合で6回、準決勝2試合の合計では11回も実施されるなど物議を醸した。リーグが終わり、各チーム関係者や選手など当事者たちは、この“文明の利器”をどう見ているのか。それぞれの立場からの是非論を聞いた。(取材・文=吉田 宏)
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スタジアムが騒然となったのは、インジュアリータイム(ロスタイム)6分のことだった。
5月14日、東京・秩父宮ラグビー場で行われたリーグワン・プレーオフ準決勝第2試合は、初の決勝進出を狙うS東京ベイを、昨季準優勝の東京SGが11点のビハインドから終盤に猛追して18-24と迫る展開に。逆転の可能性もあったラストワンプレーは、TMOによる審議となり、6分の“沈黙”の後、滑川剛人レフェリーの「ノートライ」のコールでS東京ベイの悲願の決勝進出が確定した。
トライ後のコンバージョンキック次第では、決勝進出チームが入れ替わる状況だった。だが複数のTMO用カメラの映像では、東京SGが密集から押し込んだボールがインゴールで地面に触れた瞬間は映っていなかったために、トライとは認められなかった。
「こういうセミファイナルの一発勝負になると、レフェリーにもプレッシャーがあるので より正確な判定を求められるし、それをしていかなければいけないという立場もある。スローモーションで見て、そう(ノートライ)だったということであればしょうがないと思います。TMOが多いという意見はあると思いますが、制度がある以上、チームがそれをどうこうと言う立場にないと思います。それくらいラグビーが難しくなっていると思いますし、もっと安全にということもある。クボタさんに、初めての決勝進出おめでとうございますと言いたい」
試合後の会見で、東京SGの田中澄憲監督は潔く敗戦を認めた。