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「3人プロを出し97人犠牲」では意味がない 高校サッカーの“見落とし”にドイツ人指導者が警鐘

ドイツ5部から1部にステップアップした上月壮一郎の例

 京都サンガF.C.でユースからトップ昇格をして、プロにデビューをした上月壮一郎のドイツ行きを支援した経験がある。

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「3年間トップチームに在籍したけれど、あまり試合に絡めず(18試合出場)、かつて私もプレーをしたドイツ5部のデューレンに移籍した。するとドイツでは一気にステップアップをして1年も満たないうちにブンデスリーガ1部のシャルケでスタメン出場を果たしたんだ。日本は、こういうケースを減らすことがとても大切だと思うよ」

 もちろんエンゲルスは、ドイツが全面的に手本になるとは考えていない。しかし少なくとも十分にポテンシャルを引き出し切れていない日本の実情を、歯痒く感じている。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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ゲルト・エンゲルス

元Jリーグ監督 
1957年4月26日生まれ。ドイツ出身。現役時代はボルシアMGに所属。引退後はケルン体育大学に進み、育成年代の指導も行った。1990年に初来日するとさまざまな縁で翌91年から滝川第二高校サッカー部のコーチに就任。93年から横浜フリューゲルスのコーチを務めると、クラブが消滅した98年には最後の監督となり天皇杯優勝に導いた。その後はジェフユナイテッド市原(現・千葉)監督を経て、2000年から京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)に移り、02年には監督として再び天皇杯優勝を達成。04年から08年まで浦和レッズでヘッドコーチ、監督を歴任した。11年からモザンビーク代表監督、20年にはINAC神戸レオネッサ監督を務め、現在は相生学院高校サッカー部を指導している。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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