加齢による体の変化さえ「楽しく思う」 31歳五輪スプリンター・飯塚翔太の苦悩をプラスする方法
8月のブダペスト世界陸上などの代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権は、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催中。2日の男子200メートル決勝では、2016年リオ五輪4×100メートルリレー銀メダルの飯塚翔太(ミズノ)が20秒84(向かい風0.2メートル)で5位だった。今月25日で32歳になるベテラン。加齢による体の変化までも楽しみ、長い競技生活をポジティブに過ごしていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
陸上・日本選手権
8月のブダペスト世界陸上などの代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権は、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催中。2日の男子200メートル決勝では、2016年リオ五輪4×100メートルリレー銀メダルの飯塚翔太(ミズノ)が20秒84(向かい風0.2メートル)で5位だった。今月25日で32歳になるベテラン。加齢による体の変化までも楽しみ、長い競技生活をポジティブに過ごしていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
雨の決勝は存分に走り切れなかった。200メートル決勝。飯塚はやや遅れ気味で直線へ。巻き返すことはできず、フィニッシュ直後に倒れこんだ。すぐさま他の選手が駆け寄り、スパイクを脱がしてもらう。左膝をついたまま電光掲示板を見上げた。
「もう悔しいですね。前を走っている選手の“絵”を凄く覚えています。あの場で走りたかったというのが一番の悔しさ。自分の足りていない部分がまだまだありますね」
スタート直前、ピストル音を待つ間に異変が起きていた。左太腿の内転筋付近が痙攣。コーナートップから違和感が膨らんだ。「完全に制御できなくなった」。150メートル付近で途中棄権が頭をよぎり、「葛藤したけど、そのまま走り切った」。1日の予選を20秒63の組1着で通過。調子も上向きだっただけに悔しさは募った。
リオ五輪4×100メートルリレーの銀メダルメンバー。桐生祥秀、山縣亮太、ケンブリッジ飛鳥の3人は故障などで今大会不在だが、200メートルの第一人者はその中で戦い続けている。モチベーションはどこから生まれるのか。
「みんなそれぞれの苦悩があると思うんですけど、自分がやるべきなのは変化し続けること。あとは競争心を持つことですね。普段の練習で競争すること。体、練習のいろんな変化を楽しむことは自分で考えてやっています。それが生きてるのかなと」
近年は右膝痛に悩まされ、練習が限られていた。この日の痙攣も「圧倒的にコーナーの練習をしていないのが一番の要因」と自己分析。200メートルで内側のレーンを走ると、コーナーで横方向の負荷が掛かって痛みが出る。練習でも、試合でも。加齢による体の変化は、アスリートでなくたってネガティブに感じるもの。だが、飯塚は違った。