陸上・日本選手権

　8月のブダペスト世界陸上などの代表選考会を兼ねた陸上・トラック＆フィールド種目の日本選手権が1日、大阪・ヤンマースタジアム長居で開幕した。女子1500メートル予選では、4連覇の懸かる23歳の田中希実（New Balance）が4分15秒19の1組1着、全体トップで予選突破。国内レースでも「世界」を意識した。五輪入賞の快挙を達成した記憶が重圧になっていたが、解放されて内容を重視できるようになった。2日の決勝で世陸切符を狙う。（文＝THE ANSWER編集部・浜田 洋平）

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　視線はがっちりと世界を捉えていた。田中はスタート直後から先頭へ。1周を終えた時点で2位以下を大きく突き放した。残り400メートルでも独走状態。余裕を持ってフィニッシュした。

　他の選手にリスペクトを持ちながら、「世界」を強く意識していた。

「国内でチャレンジすることより、世界でチャレンジすることを意識していました。世界に通用する走りをしたい」

　海外の猛者たちは、ピストル音と同時に猛ダッシュで超ハイペースをつくる時もあれば、異様なほどのスローペースになる時もある。「世界を意識したレースを」。そんな激しい展開をイメージしながらトラックを駆け抜けた。

　昨年大会は800メートル、1500メートル、5000メートルの3種目に出場し、4日間5レースの過密日程を戦った。2冠に加え、800メートルも2位。「去年はスケジュールをこなすことに必死。でも、その中で結果を出さないといけない。その2つがあって苦しかった」。7月のオレゴン世界陸上も個人3種目。日本人初の挑戦だった。

　しかし、どれも納得のいく結果を残せなかった。特に1500メートルは3分59秒19の日本記録を持ち、東京五輪で8位入賞した種目。「去年は五輪の記憶が新しくて自分にプレッシャーをかけていた。（国内でも）勝てるかどうかばかり意識して」。今年4月からNew Balance所属となってプロ転向。800メートルの練習をすればスピード強化に繋がるが、今季は残り2種目に絞ってきた。

「今はスケジュールがタイトではないので、一つひとつのレースに集中しやすい。順位、タイムに縛られないことを意識して、日々を過ごすことはできていると思います」