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「社会で生きていく力」が身についた 朝原宣治、大学時代の飛躍支えた「自分主体」の部活環境

五輪に4度出場し2008年北京大会の陸上男子4×100メートルリレーで銀メダル、世界選手権に6度出場するなど、朝原宣治氏は長年にわたり日本の短距離を牽引してきた。そんな陸上界のレジェンドが、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)と大阪大学が開催したシンポジウム「スポーツを通して考えるみんなの月経」に登壇。イベント後に「THE ANSWER」の独占インタビューに応じ、自身の大学時代の経験について振り返った。

UNIVASと大阪大学が開催したシンポジウムに登壇した朝原宣治氏。自身の大学時代について振り返った【写真:大学スポーツ協会提供】
UNIVASと大阪大学が開催したシンポジウムに登壇した朝原宣治氏。自身の大学時代について振り返った【写真:大学スポーツ協会提供】

朝原宣治氏インタビュー、同志社大学時代に得た経験

 五輪に4度出場し2008年北京大会の陸上男子4×100メートルリレーで銀メダル、世界選手権に6度出場するなど、朝原宣治氏は長年にわたり日本の短距離を牽引してきた。そんな陸上界のレジェンドが、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)と大阪大学が開催したシンポジウム「スポーツを通して考えるみんなの月経」に登壇。イベント後に「THE ANSWER」の独占インタビューに応じ、自身の大学時代の経験について振り返った。

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 スプリンターとしての輝かしい実績の始まりは大学3年生の時。1993年に出場した国体の100メートルで10秒19の日本新記録(当時)をマークし、日本人初の10秒1台を叩き出したことにある。同志社大学時代、朝原氏はどのように過ごして日本記録を樹立し、のちのトップスプリンターの礎を築いたのか。大学スポーツの環境の中で、朝原氏自身が学んだことや得られたものについて語った。(取材・文=松原 孝臣)

 ◇ ◇ ◇

 朝原宣治氏と言えば100メートルのイメージが強い。だが高校時代は走り幅跳びを主としていて、のちに走り幅跳びでも五輪・世界選手権に出場するほど高いレベルにあった。

 そんな朝原氏が周囲をあっと言わせたのが、同志社大学3年生の時に出した100メートルの日本記録であった。短距離専門で取り組んできたわけではなく、メインとしていないなかでの記録は、なおさら大きな反響を呼んだ。

 ただ、今日の強豪校が備えるものから比べると、大学時代は意外な競技環境にあった。

「トレーナーがいて、栄養面もしっかり取れて、練習のプログラムや指導もしっかりしているところがありますが、僕の部活動は全然違いました」

 一言、「学生がやっている部活動という感じ」と表現する。

「先輩たちが練習プログラムを立てて、指導者の人は月に数回来る、という感じでした。栄養的に言っても、高校生の時は実家にいたのでしっかり3食食べることができていましたが、大学入学とともに家を離れたので、そういう環境にはありませんでした」

 その中でも記録を伸ばし、成長できた要因を朝原氏はこう語る。

「僕はたまたま記録が出てきたので、外のいろいろな合宿に参加できるようになりました。中でも一番大きいのは、大学2年生の時にジュニアのアメリカの遠征に連れていってもらったことです。日本の同世代の頑張っている選手と行って、アメリカの学生とも一緒に試合をしたりしました。やっぱりどこでやっていても自分が頑張らないと駄目だな、というのが分かりました」

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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