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ラグビー日本代表、世界「最上位層」入りの背景 加速する“縦軸”交流、王国NZと提携した意義

HU入りで日本が即世界トップの枠組みに入るわけではないが…

 では、この決定が日本の6か国対抗やラグビーチャンピオンシップ参入に繋がるのだろうか。岩渕専務理事はワールドラグビー理事会の決定を受けて、こう説明する。

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「代表チームが今後いかに高いレベルを維持し続けられるかということが、日本のラグビー界にとっては、まず最初にやらなきゃいけないことだと思います。6か国対抗もしくはラグビーチャンピオンシップという枠組みだけで物事が進んでいけば、日本がどのように入っていけるのか、あるいは新たな枠組みができるのか。これから先、かなり短いスパンで答えを出していかなければいけない。それは、日本が1人で勝手に出せるものじゃない。国際的な動きのなかで、いろいろと進めていかなければいけないことだと思っています」

 ラグビーチャンピオンシップのような世界最高クラスの大会参加が、日本代表の進化には重要だと考えているが、その一方でHU入りが即参入ということではない。NZ協会との提携会見で、ロビンソンCEOも「将来的にラグビーチャンピオンシップのフォーマット見直しもあると思うが、短期的に(日本の参入が)実現するのは難しいと思う」と指摘しているように、今すぐ世界の仲間入りという見方は、受け入れる側もしていない。

 現時点で確かなことは、ワールドラグビー理事会での日本の投票権が2票から3票に増えたことだけだ。岩渕専務理事も「すでに2030年近くまでの大会日程は、決まっているところもある。それが変わるか変わらないかという議論がされています。(ネイションズ・チャンピオンシップなどの)新しい発想、枠組みもあるなかで、日本代表が入っていけるかというと、いろいろな権利が絡んでくるので、速やかに決まるということはない」と指摘する一方で、「大きな新しい枠組みを話し合う上では、今回の決定は日本にとっては追い風になる」と、そのメリットを認めている。

 名実ともに世界のトップネイションズに入るには、2つのポイントがある。今回獲得した1票を、ワールドラグビー理事会の中でいかに日本にプラスになるために生かしていけるのか。そして、さらにチャレンジングなのは、日本代表が今秋のW杯でHUに相応しい実績を残すことだろう。

 JRFUがフランス大会で掲げるベスト8超えというミッションには、単なる夢物語や理想像だけではなく、日本ラグビーの未来を懸けた戦略が込められている。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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