「血を吐く思いで練習した自負がない」 自分に厳しい陸上・田中希実、克服した精神面の課題
陸上のセイコーゴールデングランプリ(GGP)が21日、神奈川・日産スタジアムで行われ、女子1500メートルでは3分59秒19の日本記録を持つ23歳・田中希実(New Balance)が4分11秒56で優勝した。いつも自分に厳しい23歳。最近は海外勢に勇気を持って仕掛けられずにいたが、自己評価を高めることを心がけ。まだ途中ではあるが、メンタル面の課題を克服したことで一歩成長した。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
セイコーGGP
陸上のセイコーゴールデングランプリ(GGP)が21日、神奈川・日産スタジアムで行われ、女子1500メートルでは3分59秒19の日本記録を持つ23歳・田中希実(New Balance)が4分11秒56で優勝した。いつも自分に厳しい23歳。最近は海外勢に勇気を持って仕掛けられずにいたが、自己評価を高めることを心がけ。まだ途中ではあるが、メンタル面の課題を克服したことで一歩成長した。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
◇ ◇ ◇
悩み抜いた末、光明を見出していた。
自ら動かし、勝ち切るレースだった。田中は序盤で中団に位置する展開。徐々に前に出ながら残り2周を切り、先頭に近い位置まで上げた。残り400メートルで急加速。勝負を仕掛けた。あと200メートルで受けた海外選手の猛追。ダッシュで振り切り、勝負どころで強さを見せた。
「ラスト1周でいかに上げられるかをテーマにしていた。ラスト100メートルで止まってしまったけど、(1周)60秒を切ることを意識して今日は駆け抜けることができた。走りに集中した結果、勝てたことは凄く自信に繋がる」
ジュニア時代から国際大会を経験。「最初は海外選手への気持ちの抵抗はなかった」とイケイケでチャレンジした。「相手を振り向かせてやろう、認識させてやろう」。世界の猛者たちに挑み、東京五輪で日本人初となる8位入賞の快挙を達成。警戒すべき敵として認識させることができた。しかし、逆に「海外選手に気持ちの壁」をつくるようになってしまった。
「怖いもの知らずだったところが、怖いものを知ってしまった。今まで自分のレースに集中していればよかったけど、ノーマークの選手じゃなくなったことで、見られていると考えてしまう。うまく自分の力が発揮できないことが増えてきてしまった」
ラストスパートをかけたいけど、「勝ちたい」「相手が怖い」という気持ちが先走る。前に出られるはずなのに出ない。勝機を逸することを繰り返した。
「中途半端な気持ちで臨んで負ける、タイムが出ない。練習ができていないわけではないけど、練習に自信が持ちきれなかった。今までは他者から見たら凄いと思ってもらえる練習だから、『これでいっか』という部分がどこかにあった。だから、最後の局面で不安になってしまった」
いい練習が積めても、それを本番で出せない。「誰がどう見てもいい練習をする」。他者評価だけではなく、自己肯定感を得られるように練習から心がけた。「がむしゃらさ」を取り戻すため、4月からNew Balance所属となってプロ転向。4月下旬から米国でレースを2つ転戦した。