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吉田優利、メジャーVの裏に王貞治氏との直電30分 コーチに直訴した1通のLINEから生まれた秘話

過去にも王会長から金言「今すぐ気持ちを捨てなさい」

 この頃の吉田は決して調子が悪いわけではなかったが、成績とかみ合わないのも事実だった。昨季は2位に5度入りながら優勝には届かず。本人は5日の会見で「後ろを向く時間も、落ち込む時間もなかった」と語ったが、辻村コーチによると「悔しいの連続」だった。練習で涙を流しながらボールを打ったのも一度ではない。

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「(上田)桃子もそうだけれど、あいつ(吉田)の凄いところは負けても『クソー』ってちゃんと立ち上がるところ」と同コーチ。日曜日に最終日を戦った翌日、月曜朝8時に自ら練習を始めるのも当たり前。火曜、水曜も状態を整えて試合会場へ向かうのがルーティンで、シーズン中はほぼ休まない。

 王会長への連絡を願い出たのも、ストイックな吉田が現状打破のために起こした行動の一つだった。過去にも胸を打つ金言をもらった経験がある。

 19年11月のプロテストに合格した後。吉田は再会した王会長に、プロになって通用するか不安があることを質問。「プロとアマチュアは全然レベルが違う。だから今すぐアマチュアという気持ちを捨てなさい」と助言された。吉田の発言の節々に、プロ意識を感じた理由の一端がここにあった。

 1年8か月ぶりの優勝は、吉田自身の努力が実を結んだ結果であることは言うまでもない。ただ、迷える23歳が世界のホームラン王と電話越しに過ごした30分に突き動かされたのも事実。辻村コーチも「王会長の言葉は重い。プラスアルファの力をもらえた」と感謝する。

 全ては辻村コーチ、上田が荒川氏と出会ったことから始まった。繋いだのは、縁を大切にした吉田の行動と王会長の懐の深さ。久々の戴冠に、吉田は「3勝目まで結構長かったけれど、その分、特別な試合で勝つことができた。今まで頑張ってきたことが間違ってなかったと思う」と実感を込めた。

 王会長にも、天国の荒川氏にも、胸を張ってメジャー制覇を報告できる。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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