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海外スケーターが日本ファン絶賛の理由 フィギュア世界選手権で“魔法の空間”生んだ力

今季のフィギュアスケート世界選手権が3月22日から25日まで、さいたまスーパーアリーナで開催され、世界のトップスケーターが集結。男子シングルでは宇野昌磨(トヨタ自動車)、女子シングルでは坂本花織(シスメックス)がともに連覇を達成、ペアでは三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がグランプリファイナル、四大陸選手権と合わせて「年間グランドスラム」を達成するなど日本勢の活躍が目立った。一方で、2019年以来4年ぶりとなった自国開催の世界選手権で、日本のファンの姿も話題に。五輪をはじめ、これまで数多くの国際大会を取材してきたスポーツライターの松原孝臣氏が、選手の声とともに現地で感じた日本フィギュアスケート界が持つ「力」について綴った。

2019年以来4年ぶりとなった自国開催の世界選手権で、日本のファンの姿も話題に【写真:Getty Images】
2019年以来4年ぶりとなった自国開催の世界選手権で、日本のファンの姿も話題に【写真:Getty Images】

フィギュアスケート世界選手権で印象的だった温かな目線

 今季のフィギュアスケート世界選手権が3月22日から25日まで、さいたまスーパーアリーナで開催され、世界のトップスケーターが集結。男子シングルでは宇野昌磨(トヨタ自動車)、女子シングルでは坂本花織(シスメックス)がともに連覇を達成、ペアでは三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がグランプリファイナル、四大陸選手権と合わせて「年間グランドスラム」を達成するなど日本勢の活躍が目立った。一方で、2019年以来4年ぶりとなった自国開催の世界選手権で、日本のファンの姿も話題に。五輪をはじめ、これまで数多くの国際大会を取材してきたスポーツライターの松原孝臣氏が、選手の声とともに現地で感じた日本フィギュアスケート界が持つ「力」について綴った。

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 3月22日から25日にかけてフィギュアスケートの世界選手権が、さいたまスーパーアリーナで行われた。

 4日間の大会が伝えたのは、たくさんの選手たちの好演技が生まれたことによってフィギュアスケートの魅力を再認識する時間となったこと。そして「空間」がもたらす力だった。

 4日間に共通していたのは、スケーターたちへの温かな目線だ。

 それは日本の選手に対してだけにとどまらない。おそらくは応援している選手が出場するのを動機としてチケットを購入した方も少なくなかっただろう。それでも国内外の参加したスケーター誰に対しても拍手し、声援を送る姿が観客席にあった。

 それは今大会のカラーを形作ったが、もう1つ印象的だったのは、ペアやアイスダンスでも多くの観客が観戦に訪れていたことだ。日本ではこれまでに世界選手権が何度も行われ、国際大会も数多く開催されている。それらの大会と比べれば、観客は大幅に増えていた。

 従来はどうしても男女シングルに観客が集中し、ペアやアイスダンスはその数に大きく及ばないことが通例のようであった。

 しかもペアの場合はショートプログラム、フリーともに平日の日中の時間帯の実施であり、アイスダンスもリズムダンスは平日の日中にあたる時間帯であったことを思えば、なおさら駆けつけた多くの観客の姿は印象的だった。

 スケーターたちへの声援、ペアとアイスダンスの観客増。この2つの要素を象徴するのは、両種目に出場した選手たちの言葉だ。

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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