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116連勝中の19歳、レスリング藤波朱理の原点 父と兄の背中を追う自然体の競技人生

2021年の世界選手権で優勝「オリンピックが射程圏内に入った気がした」

 その翌年から連勝がスタートした藤波が、五輪を現実的な目標として捉えることができるようになったのは2021年、高校3年生の時だった。

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 東京五輪後に行われた世界選手権に初めて出場し、優勝を飾った。

「世界選手権代表になることができて、そして世界選手権では優勝して、オリンピックが射程圏内に入った気がしました。それまでは、まだまだ難しいことだと思っていました」

 世界選手権という舞台で頂点に立ったあとに五輪が具体的に見えたというのは、堅実な性格を思わせる。

 今や紛れもなく世界のトップに位置するまでになった藤波だが、そのレスリング人生において大きな存在を占めるのはレスリングの手ほどきをし、今日も指導にあたる父をおいてほかにいない。

 最も藤波をよく知ると言っていい父はその成長をどう見てきたのか。どのように導いてきたのか。

(中編へ続く)

■藤波 朱理(ふじなみ・あかり)

 2003年11月11日生まれ。三重県出身。父と兄の影響を受けて4歳からレスリングを始める。中学3年生だった18年に世界カデット選手権で優勝。19年に父が監督を務めるいなべ総合学園高に進学すると、全国高校総体(インターハイ)53キロ級で1年生チャンピオンに輝く。20年には全日本選手権に17歳で出場し初優勝、21年も勝ち続け、世界選手権に初出場で優勝した。昨年4月に日本体育大に進学。17年から始まった公式戦の連勝記録を「116」に伸ばしている。兄・勇飛は17年世界選手権フリースタイル74キロ級銅メダリスト。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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