[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

高校サッカー選手権は日本に不可欠 観衆5万人の決勝に海外衝撃、Jユース凌ぐ成功とは

スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回は日本サッカーの年末年始の風物詩となっている全国高校サッカー選手権がテーマ。近年はJリーグクラブのユースに好素材が集まる傾向が強いものの、“センシュケン”の人気は依然として高く、高体連のチームを経由してプロで成長し、日本代表まで上りつめるタレントも多い。世界的に見て稀有な育成システムの現状について考察する。

今年度の大会でも神村学園の福田師王(右)ら逸材ストライカーが存在感を見せた【写真:中戸川知世】
今年度の大会でも神村学園の福田師王(右)ら逸材ストライカーが存在感を見せた【写真:中戸川知世】

連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」:日本が誇る唯一無二のユース年代の大会

 スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回は日本サッカーの年末年始の風物詩となっている全国高校サッカー選手権がテーマ。近年はJリーグクラブのユースに好素材が集まる傾向が強いものの、“センシュケン”の人気は依然として高く、高体連のチームを経由してプロで成長し、日本代表まで上りつめるタレントも多い。世界的に見て稀有な育成システムの現状について考察する。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 今年の全国高校サッカー選手権は、岡山県の岡山学芸館高校の優勝で幕を閉じた。岡山県史上初の優勝だった。倉敷市にあるアカデミー出身者が多く、地元での根を張った指導がもたらした最高の殊勲と言える。

 高体連(正式には全国高等学校体育連盟、高校の競技会に出場するための部活動)出身のプロサッカー選手は20年前と比較した場合、確実に減っている。地域のトップ選手を、地元のクラブチームのユースに引っ張られるのがあるのだろう。ただ二番手、三番手と言われる子供たちであっても、指導者が工夫を凝らすことで、まだまだ重要な“供給源”になっている。

 高体連の現状と未来とは?

「センシュケン」

 それは、世界に日本だけが誇る唯一無二の大会と言える。今年の決勝戦は、5万人以上の観客を集めた。

「こんなことがあるのか!?」

 欧州の指導者たちが、全国高校選手権の試合を見て一様に驚く。数万人の観衆が熱視線を送るなかでユース年代の少年たちがプレーするなど、「あり得ない」ことだからだ。

 欧州では、最高峰のUEFAチャンピオンズリーグの前座的にUEFAユースリーグが開催されているが、将来有望な選手が出場するものの、今シーズンの1試合平均観客動員数は700人に満たず(2023年1月現在)、過去5シーズンでも平均は1000人以下である。また、代表レベルでも欧州選手権(EURO)のユース年代にあたるU-21欧州選手権が開催されているが、プレーレベルは高いものの、こちらも観客は数百人というのがしばしばだ。

 日本スポーツ界の冬の風物詩の一つになっている「センシュケン」は、これらの大会を動員力で軽く凌駕している。

1 2 3

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集