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結婚、コミュニティ運営、指導者の夢 女子ラグビー鈴木彩香が引退後も切り拓く道

後輩たちに伝えたい「何かをやめる勇気」

 そして会見では、日本代表の強化という観点でも、彩香さんの思いを聞いた。

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「最初に私がメーンにしていたのは7人制で、後半は15人制中心でやらせていただきましたが、一番大事なのは世界を経験することだと思っています。日本は、W杯など大きな大会へ向けて準備をどれくらいできたかが、他の国と圧倒的に違うと私は思ってきました。ただ、私がイギリスへ行っていろいろなことを体感したように、たくさんの選手が今、世界に飛び立って、自分の道を切り拓こうとしています。そんなところが進化していくための要因になっているのかなと思っています」

 マッケンジーHCのサポートもあり、彩香さんはもとより、現在の日本代表でもPR加藤幸子、CTB古田真菜ら多くの主力選手が海外の強豪国での経験を積み、今もプレーを続けている。その経験値や実績が代表の競技力アップを加速させているのは間違いない。そんな後輩たちに向けては、選手としてと同時に、1人の女性としての思いがこもる。

「選手たちに一番言いたいことは、何かをやめる勇気を持つべきだと感じています。それはラグビーを辞めるというのではなくて、今日の練習を止めるとかです。女子選手は、やり続けることは得意で、本当にひたむきに頑張り続けて、ハードワークする選手ばかり。でも、そればかりだと長期的に見たら大きな怪我につながるとか、ここで一回休んでいればそんなに大したことじゃなかったけれど、やり続けることで、ちょっと心のほうが疲れてしまったりとか、そういう面があると思います。これはアスリートだけではなくて、社会の皆さんもそうだと思うけど、やめること、やらないことも勇気を持って自分自身が判断することは必要だと思います」

 そして、熱い思いはこれからラグビーに挑戦する未来の後輩たちへも注がれる。

「私自身、小さい頃からラグビーにのめり込んできて思うのは、財産は人だなということです。人との繋がりだったり、出会いだったり、そういうことを繰り返して自分自身が成長させてもらえたなと実感していますし、感謝しています。これからラグビーを始める人だったり、子供たちに対しては、本当にワクワクドキドキをどんどん追求して、自分自身が好きなことを諦めないでやり続けて欲しい。私たちもそれをサポートしていけるような、そんな素敵な世界にラグビーをしていけたらなと思っています」

 日本の女子ラグビーをピッチの上で引っ張ってきた人材だ。会見では、指導者への意気込みを聞く質問にも答えている。

「コーチングでは、いずれは(日本代表を)世界で戦える位置に自分自身が導きたいという思いでいます。ただ、私自身もラグビーを生活の中心に考えて過ごしてきたので、いろいろなことを経験したり、いろいろな角度から女子ラグビーを見て、何がこれから本当に必要なのかを考えていきたいと思っています。日本代表が強くなっていけばいいなとやってきたので、引退して1人の人間として、1人の女性として、人生をどういう風に生きていきたいか、これからしっかり活躍して、またそれがラグビーを知っていただけるきっかけになればいいと思っています」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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