結婚、コミュニティ運営、指導者の夢 女子ラグビー鈴木彩香が引退後も切り拓く道
7人制、15人制と2枚の日本代表ジャージーでトップ選手として戦ってきた鈴木彩香さんが1月20日、東京・丸ビルで引退会見を行った。所属チームのアルカスクイーン熊谷(アルカス熊谷)も離れること、そして昨年末に入籍したことも明らかにして、現役時代に立ち上げたウィメンズ・ラグビー・コミュニティ(WRC)の運営を軸とした新しい道を走り出す。小学生時代からタグラグビーで活躍して、競技に携わった時間は25年に及ぶ。女子ラグビーの実力も人気も低迷する時代から、7人制が五輪種目入りして脚光を浴び、15人制でも世界ランキング5位のオーストラリア代表らを倒すなど躍進する時代を駆け抜けてきた。そんな女子ラグビーのパイオニアが、四半世紀にわたり熱中してきた楕円球への思い、そして自らが切り拓いてきた競技の現状と未来について語った。(取材・文=吉田 宏)
女子ラグビーのパイオニアが引退会見で語った「やり切った」思い
7人制、15人制と2枚の日本代表ジャージーでトップ選手として戦ってきた鈴木彩香さんが1月20日、東京・丸ビルで引退会見を行った。所属チームのアルカスクイーン熊谷(アルカス熊谷)も離れること、そして昨年末に入籍したことも明らかにして、現役時代に立ち上げたウィメンズ・ラグビー・コミュニティ(WRC)の運営を軸とした新しい道を走り出す。小学生時代からタグラグビーで活躍して、競技に携わった時間は25年に及ぶ。女子ラグビーの実力も人気も低迷する時代から、7人制が五輪種目入りして脚光を浴び、15人制でも世界ランキング5位のオーストラリア代表らを倒すなど躍進する時代を駆け抜けてきた。そんな女子ラグビーのパイオニアが、四半世紀にわたり熱中してきた楕円球への思い、そして自らが切り拓いてきた競技の現状と未来について語った。(取材・文=吉田 宏)
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見慣れたラグビージャージーから清楚なスーツに着替えた彩香さんに涙はない。輝く笑顔で報道陣の前に立った。
「先日発表させていただいたように、私は昨年のニュージーランド(NZ)でのワールドカップ(W杯)を持ちまして引退しましたことを報告させていただきます。このような会見を女子ラグビー選手がするのは初めてだと思いますが、現役生活25年間、皆さまにお世話になったこと、応援してくださったファンの方々にご挨拶させていただきたく、このような場を設けさせていただきました」
“花道”と挑んだ昨秋のW杯は出場時間0分。チームも期待されるなかで予選プールを3戦全敗という結果に終わったが、それでも悔いはない。
「かなり遡りますが、2020年にワスプス(英国のクラブ)の初めての試合で大きな脳震盪を起こし、なかなか頭痛が収まらず、ラグビーができない期間が半年続きました。そこから日本に帰国してトレーニングするなかで、痛めていた膝がどんどん疼きだしたり、普通に練習することにすごく時間がかかりました。そう長くはできないだろうなという思いのなかで、NZで行われるW杯で、自分自身の最後の力を振り絞ってお世話になった皆さんに恩返しできないかという気持ちでやっていました。
実際にW杯が終わり、悔しそうなチームメートを見守るなかで、もしかしたら勝てなかった、自分が試合ができなかったことで(再び)やりたくなるかもしれないなという思いも持って帰国しました。でも帰国してみると『ああ、もうやり切ったな』という思いでした。そこで、自分自身で引退しようと決めました」