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メッシから育成年代の選手が学ぶべきこと 世界一に到達させた技術以外の“本当の凄さ”

「走り過ぎない」裏にある精神的な強さ

「走り過ぎない」

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 それも、彼なりのコンディショニングと言えるだろう。トップレベルの選手は90分間で平均12~13キロを走るが、メッシは6~7キロ程度。それで試合を決められるプレーができるなら、お釣りがくる。

 もっとも、恐ろしい重圧だろう。もし決定的なプレーができなかったら、「役立たず」の誹りを受けるのは必定だからだ。

「レオが偉大なところは、果てしなく驚かせてくれるところだね。何年も、ピッチで決定的な仕事ができる存在であり続けている。彼のそばでプレーができることに、誰もが光栄に感じるだろう」

 かつてバルサでチームメイトだったアンドレス・イニエスタ(現在はヴィッセル神戸でプレー)はそう語っていた。

 その一方、対峙してきた選手の証言は、どこか恐怖が滲んでいる。

「メッシは山猫、豹、猛禽類……様々な猛獣の能力を併せ持ったような選手だった。人間が素手で対等に戦うのは難しく、反則で止めるしかない。1980年代までだったら、危険なタックルの標的になっていただろうね。あのマラドーナも、バルサ時代は足をへし折られているから」

 オサスナでプロ選手として20シーズンを過ごしたフランシスコ・プニャルに、ピッチで敵として対決したメッシについて聞いた時、そう洩らしていた。過去に対戦したどの敵よりも強く、人間ではない存在に映ったという。想像を超えていたのだ。

 メッシのようになれるか? その問いは、「そこまでサッカーが好きか?」にも置き換えられる。自分と向き合うことから、すべては始まる。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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