「リングで礼儀を教育した」 舐めた若手に喝、37歳ボクサーが怒りを隠した引退試合
いら立ちを内に秘めた完勝劇だった。6日にエディオンアリーナ大阪で行われたボクシングイベント「3150FIGHT Vol4」のスーパーライト級5回戦。引退試合だった37歳の元東洋太平洋フェザー級王者・大沢宏晋(ひろしげ・オール)が、22歳の樋口和輝(ARITOMI)に3-0の判定勝ちを飾った。試合前から挑発を受けた世界挑戦経験もある大ベテラン。若手を拳で「教育」し、ボクサー人生に終止符を打った。戦績は大沢が38勝(21KO)6敗4分け、樋口が6勝(2KO)4敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
37歳大沢宏晋の引退試合
いら立ちを内に秘めた完勝劇だった。6日にエディオンアリーナ大阪で行われたボクシングイベント「3150FIGHT Vol4」のスーパーライト級5回戦。引退試合だった37歳の元東洋太平洋フェザー級王者・大沢宏晋(ひろしげ・オール)が、22歳の樋口和輝(ARITOMI)に3-0の判定勝ちを飾った。試合前から挑発を受けた世界挑戦経験もある大ベテラン。若手を拳で「教育」し、ボクサー人生に終止符を打った。戦績は大沢が38勝(21KO)6敗4分け、樋口が6勝(2KO)4敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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血気盛んな22歳はニヤついていた。試合直前、会場の大型モニターで流れた選手紹介VTR。樋口はカメラに向かって、この試合で引退する大沢に刺激的なメッセージを送った。
「最後に若いボクサーの前で派手に散るのもいいんじゃないっすか」
初回から勢いそのままに拳を振り回す22歳。右オーバーハンドから左右のフックで20連打を繰り出した。コーナーに追い込まれた大沢。しかし、プロ48戦目の大ベテランは冷静だ。しっかりブロックを固め、パンチが止んだ一瞬の間をついて左フック。膝をつかせ、先制ダウンを奪ってみせた。
狙いすましたワンパンチで形勢逆転。再開後も守勢に回り、ロープを背負った。だが、ロープの弾力を巧みに使いながら上半身を動かし、クリーンヒットを回避した。この回に2度目、2回にも3度目のダウンを奪取。ともに相手のパンチを見切り、絶妙なタイミングで放ったジャブだった。
ラウンドを重ねるごとにがっちりと主導権を握り、まざまざと見せつけた技術と経験の差。試合終了のゴングが鳴ると、相手は四つん這いになり、立ち上がれない。勝者は泣き顔を浮かべる敗者を抱き上げ、何度も背中を叩いて労った。
ジャッジ3人が49-43をつける3-0の完勝。「大沢の壁が高いと思わせる試合ができた」。挑発は試合を盛り上げるためだったのかもしれないが、受けた側の心中は穏やかではなかった。
「20歳を超えた大人なら礼儀なり、リスペクトの気持ちを持って話したらいい。怒りはあったけど、リングの上で礼儀なり、いろんな教育ができたと思う」