日常生活から対戦相手を意識「常に頭の中にいる。恋人みたい」

　再起後の20年12月に日本ミニマム級王座を獲得。この頃から日常生活に変化が生まれた。「常に頭の中に対戦相手がいる。恋人みたいに」。家で何をしている時もボクシングを意識する。世界挑戦失敗から3連勝し、21年12月に2度目の挑戦で世界王座戴冠。気の持ち方が変わり、それがリングに出た。

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「自分を知って、相手を知れば危ないことはない。もっと強くなりますよ」。孫子の兵法に出てくる「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」の思考を取り入れた。昨年12月の公開スパーでも課題が見つかる。「まだレベルが上がる」。過信で敗れた世界初挑戦から4年。「もうそんなことはない」と決して過信したわけではないが、勢いのあるフィリピン人挑戦者にベルトを奪われた。

　この日の前座では、試合後にマイクパフォーマンスで挑発的発言をする選手もいた。一方、敗戦後の谷口は「今回は相手を過大評価しながら想像して臨んでいたつもりだったんですけど、想像よりも上でした。自分の認識が甘かったですね」と潔く敗戦を認め、新王者を称えた。

　進退は休養を挟んでから考える方針。会見を終えると、「忙しい中、ありがとうございました」と頭を下げた。敗れはしたが、敬意を込める精神は変わらなかった。