相手を煽るのも「心理戦で重要」 日本在住の恩師が語るW杯優勝アルゼンチンGKの凄さ
相手を煽り、威圧して支配することも心理戦では重要
大舞台になるほど心理戦が大きく左右する。それがペイトンの持論だ。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
「エミには、カリスマ性、支配力、パワーなどが備わっている。彼が後ろにいることで、アルゼンチンのDFは自信を持って守ることができる。PK戦でも必ず止めてくれると信じている。エミの試合中の態度などについて『紳士的ではない』などと批判の声が出ていたが、相手を煽りオーラを出して威圧し支配することも、心理戦では物凄く重要になる。決勝戦でも、エミがフランス2人目のキッカー、キングスレイ・コマンのシュートを止めたから、次のオーレリアン・チュアメニにもプレッシャーがかかった」
チームとしても個人的にも世界一に到達したマルティネスに、ペイトンは早速メッセージを送った。
「とうとう世界最高のGKになったな。でも今後10年間は、毎日のトレーニング、毎週のゲームに集中して、世界のトップレベルを維持し続けるんだ」
もはや世界中のビッグクラブが、エミリアーノ・マルティネスをリストアップしている。ペイトンは、そう断言した。(文中敬称略)
【第1回】W杯優勝アルゼンチンGKは「未熟だった」 日本在住の恩師が見抜いた16歳当時の才能
■ジェリー・ペイトン(Gerry Peyton)
1956年5月20日生まれ、元アイルランド代表GK。現役時代はフラム、ボーンマスなどイングランドのクラブを渡り歩き通算600試合以上に出場。アイルランド代表として88年のEUROと90年W杯のメンバーに名を連ねた。引退後は指導者の道へ進み、94年からはジュビロ磐田で、95年からはヴィッセル神戸でGKコーチを務める。2003年からは名将アーセン・ベンゲルの下、アーセナルで15年を過ごし数々の世界的なGKを育てた。18年からは清水エスパルスでコーチを、21年からは兵庫県の相生学院高校サッカー部監督などを歴任。23年シーズンはJ1横浜FCのセットプレーコーチ兼アナリストに就任した。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)