「既存のボクシングファンをABEMAに」 プロモーター・亀田興毅が描く業界再興の道筋
「既存のボクシングファンには、ABEMAの見方をまだ知らない人が多い」
過去3回の間には「3150FIGHT ~SURVIVAL~」と題し、「3150FIGHT」への出場権を懸けた日本全国の新進気鋭ボクサーたちによるサバイバルマッチを実施した。新人発掘のため、若手にチャンスを与える取り組みだった。
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「少しずつ形になってきましたね。今の規模では『ここに人が足りないから誰かいないか』と探しに行ったり、今はいないから外注したり、PR会社に力を貸してもらったり。もう少し大きくなっていったら外注じゃなく、次は内政化しようと思っています。その方がより収益性も上がるし、効率も良くなる。どんな会社もやることは一緒だと思うんですよ」
――今、一番苦労している部分は何でしょうか。
「今は急成長してると思う。結構なペースでどーっと上がってるから、人手が追いついていない。トップの人間が物事を考えて先、先、先で行くわけやから、アイデアがどんどん出てくるわけです。でも、そのアイデアが出たけど、レシーブする人が必要ですよね。そこが今は追いついてない。だから、嬉しい悩みですよ。
やりたいことがいっぱい出てくるわけですよ。でも、なんでそんなことが出てくるんかって言ったら成長してるから。子どもの時にね、背が伸びる時って膝とか痛かったでしょ? そんな感じ。ボクシングで強くなる時って筋肉痛になるんですよ。めっちゃしんどいです。それと一緒。
だから、今の僕は頭をずっと使うから頭がカチカチになって。髪の毛とかハゲてきたもん。ほんまに。ほんまにハゲてるよ。(頭を指さしながら)ここ、結構薄なってきたもん(笑)」
初めて世界王座に就いたのは2006年。2010年に3階級制覇し、最後の世界戦は2015年だった。現役時代と今、世の中の求めるものも「だいぶ変わってますね」と変化を実感する。一つはテレビ中継からネット配信に移ったことだ。「3150FIGHT」もABEMAで無料生配信されている。
「もう完全にデジタル社会でしょ。SNSをどううまく使うか。でも、それは当然大事ではあるんですけど、その中で僕は今、ABEMAとタッグを組んでやっているわけです。そうなった時、いま一番大事なのは既存のボクシングファンをABEMAに向けることなんですよ。既存のボクシングファンには、ABEMAの見方をまだ知らない人が多い。
まだ『地上波でやらないの?』と言う人が多いでしょう。『ABEMAって何やそれ』って。毎日いろんな人と話をするけど、これって現場の声なんです。誰に話しても『ABEMAってどうやって見るんですか?』『ああ、ABEMAか。まあええわ。またYoutubeに上がるやろ』『ABEMAってお金かかるでしょ』とか、こうなるんですよ。『テレビでせえへんのか』っていう話になってくる」
――ボクシングファンは世代的に少し年齢が高い。
「そうです。でも、どこの企業も今すごく必要な層だと思います。少し裕福な層なので。そこのファンは大切です。若い人を取り入れるのは、そんなに難しい話じゃない。だって、ABEMAにどんだけ若い層がいてるんですか。もうすでにいます」
――ABEMAはサッカー・W杯でも全試合無料生中継で認知された。
「W杯では新規ファンが来たそうです、若い子ではなく。今までABEMAを見ていなかったスポーツファンです。サッカーも、ボクシングもスポーツファンの人たちは大体同じ層です。大相撲ファン、プロ野球好きもこの辺りは全てスポーツファンです。サッカーはいち早く若者にもいろんなリーチをして取り込んでいっているけど、もともとはサッカーもスポーツファン。スポーツというカテゴリーなので、ボクシングファンと同じようなところです」
自身は出場選手の会見や公開練習にも出席。3150FIGHTがABEMAで配信されることをアピールする。似たような質問にも都度、丁寧に説明を繰り返し、SNSも駆使しながら認知度を上げるために奔走。今回の興行ではハーフタイムショーを予定し、ロックバンド「T-BOLAN」が出演するなど異例の試みに着手した。