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「カタールW杯を見た世代」が築く未来 “死の組”突破が日本サッカーに残した財産とは

日本サッカーの未来を支える「カタールW杯を見た世代」

「日本で、この試合を見たから、サッカーをするようになった、サッカー選手になった、という子供たちが増えたらいいなと。日本サッカーはさらに進化すると思います。自分たちもベスト8にまで進んで“新しい景色”が見たいし、この戦いが日本サッカーの発展につながると信じて」

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 カタールW杯グループリーグ最終戦でスペインを破ってベスト16に進んだ後、日本の主将である吉田麻也はそう語っていた。ベスト8に進むことはできなかったが、子供たちに与えた影響は大きい。すでに各都道府県でサッカースクールなどの入校応募者は増えているという。世界の強豪と全力で戦って歓喜する姿が、感動を生まないわけがない。その効果はこれから隅々まで波及するはずだ。

<カタールW杯を見た世代>

 それは日本サッカーを支える、新しいうねりになるだろう。

 大会後、日本サッカー協会は今回の日本代表選手26人が11~21歳時に所属した国内のクラブや学校に対し、育成還元金を支払うことを決定している。1チームにつき、30万円×在籍年数を還元。小規模のクラブにとってはハード面を改善できるはずで、総額は7500万円になるという。

 育成の観点から、これは素晴らしい試みと言える。

 結局のところ、育成を成功させるには、現役選手が輝かしい姿を示すことが一番である。模範というか、憧れこそが、子供たちの技術を上達させる。強豪国に一流選手がどんどん出てくるのは、一流選手の夢のようなプレーに憧れる子供たちがいるからだ。

 カタールW杯の日本代表は、その希望をつなげたと言える。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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