「最低1000万円かかる」 テスト不合格の女子ゴルフ25歳、欧州挑戦前に資金不足の壁
2023年シーズン、欧州女子ゴルフツアーに参戦することになった識西諭里(おにし・ゆり)は今、資金集めに動いている。7度目の受験だった国内プロテストは最終で不合格。米ツアー最終予選会の落選を経て、欧州女子ツアー最終予選(QS)をボーダーライン上の通算3アンダー、17位タイでクリアした。ようやく手にしたツアー出場権だが、動く範囲は欧州に加え、アフリカ、米国、アジアに及ぶため、「最低でも経費で1000万円はかかる」と考えている。8度目のプロテスト受験も念頭に置く25歳の思いを聞いた。(取材・文=柳田 通斉)
国内プロテスト不合格から欧州ツアー出場権獲得、識西諭里が資金集めに奔走
2023年シーズン、欧州女子ゴルフツアーに参戦することになった識西諭里(おにし・ゆり)は今、資金集めに動いている。7度目の受験だった国内プロテストは最終で不合格。米ツアー最終予選会の落選を経て、欧州女子ツアー最終予選(QS)をボーダーライン上の通算3アンダー、17位タイでクリアした。ようやく手にしたツアー出場権だが、動く範囲は欧州に加え、アフリカ、米国、アジアに及ぶため、「最低でも経費で1000万円はかかる」と考えている。8度目のプロテスト受験も念頭に置く25歳の思いを聞いた。(取材・文=柳田 通斉)
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約1か月の米国、欧州遠征を終え、識西は都内でスポンサー回りをしていた。
「1年間の感謝をお伝えし、欧州女子ツアー出場権獲得をご報告するためです」
安堵の様子はなく、「他にもやることがたくさんあります。練習はもちろんですが、ツアーを回る資金を集めなければ。時間もあまりないですし」と言った。
確かに休んでいる暇はない。2月5日からは、ケニアで開幕戦が組まれている。その後はモロッコ、サウジアラビアを転戦。1週空いて、南アフリカで2試合、翌週はシンガポールだ。欧州での試合は3月11~13日が最初だが、翌週には米フロリダ州で試合。事実上の「ワールドツアー」であり、識西は「最低でも経費で1000万円はかかると思います」と話している。
2022年も経費で苦しい思いをした。プロテストを受けるための活動費(練習、遠征、登録料)だけでも年間300~400万円はかかるのに加え、日本での予選会を経て7月に全米女子オープン出場、8月から米ツアー予選会が始まり1次、2次、最終予選と受験の度に渡米した。欧州女子ツアーのQSが開催されたスペインには米国から渡ったが、年間の経費は「計約800万円はかかっている」という。
「2022年に関しては、これまでいただいていたスポンサー料とミニツアーで得た賞金などで何とかしました。ただ、2023年については資金不足が明白で、新たなスポンサーが必要になります。今、いろんな方々の協力を得て動いていますが、すぐに決まる話ではないと思いますし、クラウドファウンディングも考えています」
娘の世界進出を喜ぶ両親も「援助はする」と言ってくれているが、識西は「可能な限り自分の動きで」と思っている。理由はこれまで心配をかけ続けたのに加え、母親には海外遠征帯同で負担をかけたからだ。