W杯4強のカギはリーグワンにあり? リーチの言葉から探るラグビー日本代表強化の道
欧州遠征で体感、世界最先端のラグビーとの差
W杯本番へ向けた試金石となる今秋のテストマッチでは、オールブラックス(ニュージーランド代表)に31-38と過去最少の得点差に迫った。しかしヨーロッパ遠征ではイングランドに13-52と大敗すると、フランスにも17-35と敗れてテストマッチ未勝利でシーズンを終えた。来年の優勝候補と目される両チームには、スコアや結果以上に個々のコンタクトで重圧を受け、得意のスピーディーなアタックにキックを交えた戦術も勢いを封じ込まれた。リーチは、ヨーロッパで体感した世界最先端のラグビースタイルと、日本代表の現状をこう解釈する。
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「2015年、19年(のW杯)はわりと速いラグビー、スキルを使い、シェイプ(攻撃の陣形)を使ってやってきたが、今回感じたのはラグビーの原点、つまり接点のところ。そしてセットピースで強くないと勝てないなということです。デカいFW(フォワード)をどれだけ止めるか、自分たちがどれだけ前に出られるか。それができればディフェンスもアタックも変わるだろう。イングランド戦ではスクラムで3連続ペナルティーを喰らったり、モールもゴリゴリ押された。セットピースの強さ、モールとモールディフェンスの強さ、接点の強さとか、今回の遠征ではラグビーがその原点に戻ったんじゃないかなと感じました」
秋のテストマッチ3試合で240分中222分、ヨーロッパでの2試合はフルタイムでプレーしてきたリーチの言葉だからこそ、説得力のある世界トップとの差。同じBL東京のメンバーで、今秋のテストマッチシリーズでティア1強豪国にフィジカルでも渡り合い、日本代表の藤井雄一郎ディレクターから「MVP級の活躍」と評価されたLO(ロック)ワーナー・ディアンズも「イングランドはオールブラックス以上にコンタクトが強かったし、プレッシャーもあった。フランスも、一つひとつのコンタクトはおそらく一番強かった」と直接体感した世界の壁を振り返った。2人が語るフィジカルバトルで見せつけられた差を、W杯までにどうやって埋めていくのかが勝負になるのだが、19年大会閉幕と同時に始まったフランスへ向けた各国の強化レースを振り返ると、日本代表は手痛い出遅れを強いられた。元凶は、新型コロナウイルスによるパンデミックだ。
世界のどのチームも苦しめられた感染対策だが、日本は大きなハンデキャップを強いられた。その差はテストマッチの数が示している。日本と、来年のW杯で対戦するイングランド、アルゼンチンの20年から今年11月までのテストマッチの実施回数を見てみよう。
■日本(10位)
20年 0試合
21年 6試合
22年 7試合
合計 13試合
■イングランド(5位)
20年 12試合
21年 10試合
22年 12試合
合計 34試合
■アルゼンチン(8位)
20年 7試合
21年 12試合
22年 14試合
合計 33試合
※カッコ内は世界ランキング(12月12日現在)