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なぜ、子どもたちが無料で野球ができるのか お金の壁を破るMLBユースアカデミーの意義

建設させた場所は低所得世帯の多い地域

 アカデミーは低所得世帯の多い地域に建設された。レンジャーズの本拠地アーリントンからは、少し離れたウエストダラスにある。申し込み時に家庭の収入を聞いているわけではないから、富裕層の子どもでも参加できる。しかし、無料で練習やプレーできることを最も必要としている子どもたちに届けられるようにとの思いで立地場所は選ばれているのだ。

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 レンジャーズのRBIリーグの各チームのコーチ陣は無償ボランティア。一方、レッスンを担当するコーチは、レンジャーズ財団からパートタイム従業員としての報酬が支払われている。他に仕事を持っていて、副業のパートタイムの仕事としてコーチをしている人が多いとのこと。このコーチらは高校や大学でプレー経験のある人が多く、レンジャーズが指定したコーチ講習を受講している。

 メジャーリーグではレンジャーズだけでなく、アストロズ、ロイヤルズ、レッズ、ナショナルズ、フィリーズでも同様のアカデミーを運営している。さらに、メジャーリーグ機構が運営するカリフォルニア州コンプトンのユースアカデミー、メジャーリーグ球団のないニューオリンズのユースアカデミーをあわせると、現在は8つのアカデミーがある。

 いずれのアカデミーも共通しているのは、都市部の子どもたちに野球とソフトボールの指導の提供すること、この地域での生活の質を高めることを目的としている。つまり、都市部の低所得世帯の多い地域に住む子どもたちに野球とソフトボールを教え、スポーツ活動を通じて、地域での生活を高めていくことを目的としている。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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