少数派の大卒プロテスト受験者 5度目にして合格した26歳高野あかり、2つの「やっと」
断念考えた1年前、周囲、家族の励ましで「あと1度」
「きつかったです。2次で落ちることは想像もしていなかったからです。年齢的にも焦ってきました。若い選手がどんどん優勝しているので……」
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高野が4度受験している間に、実力のある高校出身者が合格し、ツアーを席巻した。今年に入ると、20歳の岩井千怜、19歳の川崎春花、尾関彩美悠が初優勝を飾り、高野の焦りは増すばかりだった。
「もう、(受験を)終わりにした方がいいとも思いました。練習は苦にはならないのですが、テストで落ちることが辛すぎたからです。ただ、周りの人たちは『もう少し頑張れ』、両親も『やり切ったのか?』と言ってくれました。自分でも『やり切ってはいない。あと1度、悔いのないようにやろう』と思いました」
目標達成には何が必要なのかを考え、メンタル強化とパッティング技術の向上に重点を置いた。師事してきた西野貴治コーチには、「プレッシャーの中で振り抜く」をテーマに「ルーティン」を教え込まれてきていた。それを継続した上で、“無”になることを徹底した。
「私には打つ方向を意識し過ぎて、アドレスで肩が左に流れるクセあります。なので、打つ直前にクラブを上げてシャフトを顔に近づけた後、もう1度、クラブを下ろしてフェイスの方向を確認する。一連の動作をした後は、何も考えずに振り切る。主にその練習をしてきました」
パッティングでは、数多くの女子プロから相談を受けている橋本真和コーチに指導を依頼した。面識はなかったが、今年1月、インスタグラムのDMにメッセージを送ってコンタクトした。
「メトロノームを使った練習を教わりました。考え過ぎず、リズム良くストロークするためです。あとは、(イントゥーインの)正しいストローク軌道を線で描いたパッティングマットで練習法を教わり、それも繰り返しました。テスト前にマレット型でフィットするパターを手にできたことも大きかったです」
実戦も重ねた。所属してきたDSPE(ツアープロを目指す女子ゴルファーを支援する団体)の月例会や主催の試合に出場。2日間、3日間競技も設定されたことで、「テストをイメージできました。本当にありがたかった」。テスト本番では、1次予選、2次予選ともに幸運があったという。