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W杯落選の哀情「酒に溺れた夜とかあちゃんの涙」 当事者・久保竜彦が明かす16年前の記憶

2004年、ジーコ監督率いる日本代表でプレーしていた久保【写真:Getty Images】
2004年、ジーコ監督率いる日本代表でプレーしていた久保【写真:Getty Images】

もう覚えてない酒におぼれた夜と、忘れられない「かあちゃん」の涙

 その夜、酒を飲んだんよ。

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 岡田さん(岡田武史監督)から「1日だけ休みやるわ」と。大さん(仲の良かった同僚の奥大介さん)がおったけど、大さんもW杯を狙ってて落ちたから、飲んだら大変なことになるなと。それで、嫁さんと家で飲めるだけ飲もうかと思ったら、広島から先輩が来てくれて、横浜の仲の良い知り合いも来てくれて。

 口には出さんけど、気を遣ってくれてたと思う。「やっぱり落ちたか」なんて、ああだこうだ言って。で、しこたま飲んだ。そうしたら次の日、二日酔いがきつくて。休みは1日だけのつもりが「すいません、起きれんかったです」と言ったら、岡田さんが「(休みは)今日までだぞ」って許してくれた。

 あれは、やけ酒やったんかな。もう、よう覚えとらんけど。

 でも、今も覚えとるんは、かあちゃんのこと。

 発表の時に俺のかあちゃんが、高校の先生と一緒にテレビに映されてた。それがニュースに流れて、なんでテレビに出とるんやろと思って見よったら、かあちゃんが泣いてた。しょうもないことして、ずっと迷惑かけたけど、泣いてる顔を見たことなかったから。

 ちゃんとしなきゃいけないなと。何かあるごとにあの映像を思い出すよね。なんで(当落線なのに)テレビなんか出たんやろって思ったけど、脳裏に焼き付いてる。だから、人に優しくじゃないけど、もう泣かせるようなことしちゃいかんとは思ったよね。

 ジーコ監督には期待されとったと思う。

 代表で自分の部屋に何度も呼ばれて、手術しろ、手術しろってうるさくて。自分が手術をやった病院も教えてくれたけど、自力で治したいと思った。でも、それだけ気にしてくれた。サッカーもめっちゃ上手かったし、練習も楽しかった。

 小さい頃から憧れの人やった。自分も良くなりたい、上手くなりたいというのもあったから、ジーコは引き出してくれた。シュートも違うやり方を教えてくれたし、ジーコじゃなかったら聞けなかった。あともう1か月、W杯で一緒にやってたら自分にプラスになることあったんやろな。

 大会は見た。仲良い選手がいっぱいいたし。初戦のオーストラリア戦であんなこと起きるんやなと思った(1-0の後半39分から3失点で逆転負け)。ああいうところでミス起きるんや、それだけ世界って凄いとこなんやって思った。

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