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史上2度目の“日本人対決”王座統一戦 拳四朗VS京口、元同級王者が語る勝負のカギとは

取材へ訪れるたびに進化し続ける2人の姿

 戦う上で、両者の得意な距離が異なるため、長距離戦では寺地、近距離戦では京口が有利となるだろう。寺地はジャブで京口の前進を止め、得意の右ストレートが当たる距離で戦いたい。京口はできるだけ距離を詰め、ボディから上下に打ち分けて戦いたい。

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 そうなると、“中間距離”での戦い方がカギとなる。どちらが先に自分の得意な距離に持ち込むか、序盤の駆け引きに注目したい。しかし、これはあくまで今までの彼らの試合を見て導き出した予想だ。

 トップレベルのボクサーは、相手によってスタイルを変えてくる。その時の状況や拳を合わせてみた感覚で、戦術面も大きく異なる。そのため、勝敗は出たとこ勝負となりそうだ。

 筆者は寺地と京口のもとへ何度か取材に訪れているが、そのたびに新たなトレーニングを取り入れ、進化させていた。

 寺地は、元世界王者の矢吹正道(緑)とのダイレクトリマッチで、1ラウンドからプレッシャーをかけ続け、強打の矢吹を下がらせた。

 本人は「再戦のプレッシャーはあったし、2度負けたらメンタル的にもキツイし、終わりだと思っていた。接近戦を練習して引き出しが増え、相手によって戦い方を変えられた。いろいろな面で成長ができ、敗戦で学んで対応力がついた」と語っていた。そのため京口の得意な接近戦で打ち合う可能性も高い。

 京口も2戦連続で海外での試合を経験し、劣勢な状況でも冷静に相手を分析し、勝負どころで力を発揮してきた。勝敗予想が難しい試合ではあるが、国内では寺地の勝利予想が多く、海外では京口の勝利予想が多いという面白い予想が出ている。

 私自身も現役時代は同じ階級で戦っていたため、非常に興味深い試合となりそうだ。京口はこの試合に向けて「ここまでのキャリアで一番の試合。拳四朗は一番強い相手なので、しっかりクリアしたい」と意気込み、拳四朗も「統一戦は初めてでモチベーションは上がるし、注目度も高い。今後の流れ次第だが4団体統一したい」と語っている。

 この試合の勝者が、ライトフライ級初の4団体統一戦に近づく。

 世界のボクシング界のトレンドは、複数階級の制覇から、同階級の統一戦に変化している。現在は階級も団体も増えたことで、王座を取りやすい団体で挑戦すれば世界王者になれる可能性は高い。それに比べて4団体統一は、その階級で最強を証明するのに最も分かりやすい偉業だ。世界でもいまだ8名しか生まれていないことからも、その難しさが分かる。

 成し遂げれば、ボクシング界で最も栄誉あるボクサーとなるだろう。この試合に勝利したほうが、その栄光に近づく。歴史に名前を残すのはどちらになるのだろうか。

(木村 悠 / Yu Kimura)

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木村 悠

1983年生まれ。大学卒業後の2006年にプロデビューし、商社に勤めながら戦う異色の「商社マンボクサー」として注目を集める。2014年に日本ライトフライ級王座を獲得すると、2015年11月には世界初挑戦で第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオンとなった。2016年の現役引退後は、株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動、社員研修、ダイエット事業など多方面で活躍。2019年から『オンラインジム』をオープンすると、2021年7月には初の著書『ザ・ラストダイエット』(集英社)を上梓した。

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