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“天才少女”金田久美子も陥ったスランプ 感覚頼りだったトッププロが理論に向き合う時

世界ランク10位畑岡もコーチのアドバイスで初めて知る「スイング理論」がある

「悪くなった時も感覚で戻そう、戻そうとしていたんですけど、全然感覚もなくなっちゃって、何もできなくなっちゃいました。『こうやって打ったらスライスする、フックする』。それさえも分からなかったので、いろんな人にアドバイスをもらい、自分でも調べてみました。それで何となく自分の中でイメージして、いろいろとやってきた感じです」

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 幼少期からセンス抜群だった金田が、初めて理論、メカニックを知る機会になった。そして、スイング改造に取り組んだ。「怪我の功名」で生まれたハーフショットも、体とクラブの動きを理解しているからこその技術。その上で、「良い感覚」をつかみ直していた。

 大会前日には、米女子ツアーを主戦場にして2年ぶり国内ツアー出場となる畑岡奈紗が、興味深いことを言った。今季から師事している黒宮幹仁コーチがキャディーを務めていることで、初めて知ることもあったと明かした。

「今まではドローが強くなると、それをヘッドの向きで調整していました。スイングパス(軌道)と同じ方にボールが出るのではなく、逆の方にボールが出るというのを分かっていなかったというか……。(例えば)左に振ったら、左に飛んでしまうという考え方でいたのですが、左にミスしてはいけない時ほど、しっかりと体を回転させて左に振り切っていかないといけない。多分、こういった基本的な部分は自分の感覚がいい時はできていましたけど、『ちゃんと分かった上でゴルフをしてなかった』と感じました」

 米ツアー通算6勝、世界ランキング10位。日本勢トップの23歳畑岡でも、分からないまま感覚でプレーしていた部分がある。驚きもあったが、双子の岩井明愛、千怜姉妹を幼少から指導してきた永井哲二コーチ(埼玉・毛呂山町のリンクス・ゴルフクラブに勤務)も「ジュニア時代から感覚のままプレーし、コースで対応できている選手は少なくないと思います。ただ、理論やメカニズムを知っていた方が、不調から脱しやすくなります。姉妹からも『なぜ、こういう動きになるのか』を聞かれたら、分かりやすく答えるように心がけています」と話している。

 いつまでも、「良い感覚」が続かないのがゴルフの常。長く第一線でプレーし続けるためにも、選手自身が理論を学び、情報を整理していく必要がある。記者として、それを再認識した取材機会だった。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

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