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年俸1億円超えも「珍しくない時代」 日本ラグビーで進む高騰化と“カテゴリA”の問題

日本のラグビー界でも存在感を高めているエージェントビジネス。前編では、実際に日々どのような仕事をしているのかを当事者の話を中心に聞いたが、中編ではプロ化が進むなかで起きている選手年俸の高騰化の問題に焦点を当てる。その背景として、今年1月に誕生した国内最高峰リーグ「リーグワン」の選手規約の1つ、「カテゴリA」を指摘する声が高まっている。(取材・文=吉田 宏)

昨季東京サントリーサンゴリアスに所属したダミアン・マッケンジーのような世界的スターに限らず、外国人選手の年俸が高騰しているという【写真:Getty Images】
昨季東京サントリーサンゴリアスに所属したダミアン・マッケンジーのような世界的スターに限らず、外国人選手の年俸が高騰しているという【写真:Getty Images】

「リーグワンと代理人の今」中編、リーグやチームが危惧する選手年俸の高騰化

 日本のラグビー界でも存在感を高めているエージェントビジネス。前編では、実際に日々どのような仕事をしているのかを当事者の話を中心に聞いたが、中編ではプロ化が進むなかで起きている選手年俸の高騰化の問題に焦点を当てる。その背景として、今年1月に誕生した国内最高峰リーグ「リーグワン」の選手規約の1つ、「カテゴリA」を指摘する声が高まっている。(取材・文=吉田 宏)

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 事業化、プロ化へと進む日本のラグビーだが、世界的にこの競技がプロを容認したのは1995年と歴史は浅い。ワールドカップ(W杯)でトップ8に入るような国では、プロリーグを持つか、代表級の選手が海外のプロチームでプレーするのが現状だ。日本ではいまだに最高峰リーグでもプロ・アマ混在の状態で、本社とは別会社を設立したチームもあるが、資本金は親会社依存というのが現実だ。依然として、従来の企業スポーツという形態からは脱却できていない。プロ・アマの比率は、チーム差はあるがフィフティー・フィフティー、ないしは社員選手のほうが多いと考えていいだろう。エージェントビジネスも、日本ではまだ成長段階の分野だ。

 このような状況下でリーグワンが事業化という方向性を示している現状だが、チーム、リーグ自体も危惧するのが選手年俸の高騰化だ。これは一方的にエージェントに責任があるものではないが、契約交渉を担うその存在が大きく影響しているのは否めない。前編でも話を聞いた、リーグワンのあるチームのGM(ゼネラルマネジャー)は、こう指摘する。

「外国人選手の年俸は、相当高くなっていますね。実は、これまでは将来的にリーグ側がサラリーキャップ制度を作るだろうという暗黙の了解のなかで、契約交渉も少し金額が抑えめになっていた。だが、独禁法違反の恐れなどで、リーグは一定の制限を作るのは難しいという方向になってきた。おそらくエージェント側にもなんらかの形でこの情報が伝わっていて、また年俸の高騰が起きています」

 サラリーキャップとはチームの年俸総額に上限を設けることで過度な年俸の高騰、マネーゲームを抑えようという制度だ。資金力のあるチームが選手を大量に集めるような状況を作らないために、このような制度を求める声はリーグ内でも少なくない。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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