フィギュアスケート「ジャパンオープン」に出場、世界を制しても変わらぬ挑戦者の姿勢

　フィギュアスケートの国際大会「木下グループカップ Japan Open 2022」（ジャパンオープン）が、10月8日にさいたまスーパーアリーナで開催される。3年ぶりに日本、北米、欧州の3地域に分かれ、アマチュアとプロの男女混合チームによる対抗戦が復活。各選手のフリースケーティングの合計点をチームの総合点とする団体戦形式で順位を決める。

　日本からは坂本花織（シスメックス）、紀平梨花（トヨタ自動車）、宇野昌磨（トヨタ自動車）、三浦佳生（オリエンタルバイオ・目黒日大高）の 4人が出場予定だ。本格的なフィギュアシーズンのスタートに向けて、どんな演技を見せるのか注目が集まるなか、「THE ANSWER」では今大会に出場するトップスケーターたちの今季に懸ける想いを紹介。今回は男子シングルで、日本のエースとしてさらなる活躍が期待される宇野昌磨だ。初の世界王者となって迎えるシーズンに向けた言葉に、「挑戦」への貪欲な姿勢と覚悟が見えた。（構成＝THE ANSWER編集部、協力＝テレビ東京）

　◇　◇　◇

　今年2月の北京五輪男子シングルでは、4年前の銀メダルに続く銅メダル、そして翌3月にフランス・モンペリエで行われた世界選手権で初優勝。昨シーズン、宇野は1人のスケーターとして大きな成果を手にしたが、世界選手権直後には自身の優勝について「今年とは正直考えていなかった」と率直に話し、こうも語っていた。

「僕はわりと現実的に、僕より凄い選手はたくさんいると思うんですよね。新しいジャンプを跳ぶとか、能力だったら全然僕より上手い選手がたくさんいると思うので、僕はそういう何かを成し遂げるということに手を出すのではなく、決められたルールの中でどうしたら効率的に点数が獲れて、ただ演技としても疎かにしたくない自分の小さなプライドもあるので、わりと点数については他の選手よりも深く考えていると思います」

　世界王者となってもなお、宇野は自らの立ち位置を冷静に、そして客観的に見続けている。「もう一度、世界選手権があったら優勝できないと思っている」というコメントや、「もっと成長しなければいけない。“したいな”じゃなく、自分が同じ世界のトップで戦い続ける存在であるために、成長しなければいけないと思っています」との言葉にも、貪欲にスケーターとしてのさらなる進化を求める求道者のような姿が映し出されている。

　宇野自身がキャリアの大きな分岐点になったと振り返るのが、2019-20シーズンのGPシリーズ・フランス杯だ。8位に終わった後、トリノ五輪銀メダリストのステファン・ランビエールコーチに師事。スイスを拠点に活動し、4種類の4回転ジャンプを5本跳ぶプログラムに取り組み、その挑戦が昨シーズン、“世界王者”の称号を得ることにつながった。