世界卓球で59歳のエースが魅惑の快進撃 2児の鉄人母ちゃんに日本人記者も心奪われた
今の夢は何なのか「子どもたちに私を追い越してほしい」
時代とともにルールが変わり、用具が進化しても、その度に技術を磨き直して対応してきた。増やした引き出しは数知れず、現在の世界ランクは41位。「戦うために一生懸命準備しているわよ。よく寝ることね(笑)」。継続的にポイントを上積みしなければ、すぐに転落してく世界。この順位をキープしているのは鉄人の証だ。
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来年7月、日本で言えば還暦を迎える。今の夢は何ですか。ルクセンブルクの卓球少年、少女、チームの後輩たちに思いを馳せる答えが返ってきた。
「チームを良い方向に導くことです。そして、子どもたちが私を追い越してくれるといいですね。長い間、子どもたちには、先頭に立つように言い聞かせてきたんです。でも、彼らはいつも“母親”に先頭を行ってもらいたがります。だから、私が牽引しなきゃいけないんです。でも、私たちは良いチームですよ。チームの調和はとれています。次の試合もいつものように全力を尽くしたい」
30歳の息子、19歳の娘を持つ2児の母。息子の年齢は記者と変わらない。「あんたも私の息子みたいなもんね(笑)」。いまだ燃えさかる闘志の一端をのぞかせた取材を終えると、10人ほどの中国記者たちから拍手が沸き起こった。
決して手を抜かない“おばちゃん”のプロ魂に感服。20代の選手たちを次々と倒し、決勝トーナメント進出を決めた。彼女にとって、年齢は記号にしか過ぎない。最後は日本語で「アリガト~。サヨナラ~」と、こちらに手を振ってくれた。チャーミングな人柄に心をわしづかみされた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)