伊藤美誠と双璧をなす早田ひな 東京五輪落選から世界5位に、その裏にある強烈な探求心【世界卓球】
探求の道はどこまでも続く「終わらない。誰かに止めてもらうしか(笑)」
今では笑えるエピソード。そんな性格だから、卓球で積み重ねたものを一度ゼロに壊すことも恐れない。
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「みんなに言われるんですけど、怖くないんですよね。岡先生という体の使い方をわかってる人だからこそ信頼できる。それをやったら100%よくなる。毎日の積み重ねかもしれないですけど、会話の中によくなってきた過程があると思います。
失敗したら戻せばいい。今の状態がやりにくいから、よくなるのなら変えた方がいいという考えです。自分を最大のところまで突き詰めていく気持ちの方が強い。やりにくいものがあると、最後に自信を持ってできない。自信が持てるまで作り上げていく方が自分にとっては大事。だから、基本的に挑戦していくことに怖さはないかなって。だから、毎日が楽しみです」
理想はテニス界の皇帝ロジャー・フェデラー(スイス)。プレー中の写真は、どのシーンも綺麗に写る。顔がブレず、体の軸がしっかりしている完璧な姿勢だ。
「全部のプレーが綺麗で美しいと思われたら、それでいいんじゃないかなとは思います。でも、そう思われても、私の中では課題を感じていると思うので終わりはないのかな。こういうプレースタイルだからこそ時間はかかるんですけど、できた時の達成感は大きいです。できた時は、一本一本が世界に通用するボールになってくる。理想とする卓球に近づけるように頑張っていきたい。でも、たぶん終わりはないので、誰かに止めてもらうしかないです(笑)」
理想を追求する過程で迎える世界卓球。前回18年の団体戦は主にリザーブとなり、出番が少なかった。若返った日本卓球は新時代を迎える。中国も警戒感を高めているはずだ。
「1、2番手で絶対に勝たなきゃいけないポジションになってくる。『早田を出せば勝てる』という信頼性を持ってもらえるような結果を出していきたいです。みんなにプレッシャーの少ない状態で試合に出てもらうのが自分の役割。中国の壁は厚いと感じています。でも、団体戦は勢いで勝つこともできるので、実力+爆発力が必要。それも安定した爆発力を出せるように、もっともっと練習していかなきゃいけない」
3大会連続銀メダルから51年ぶりの金メダルへ。「やることはいっぱいだな」。強烈な探求の道に、「団体戦女王」の肩書きを添えてみせる。
(最終回は張本智和が登場)
◆世界卓球 9月30日からグループリーグが行われ、上位16の国と地域が10月5日からの決勝トーナメントに進出。テレビ東京系&BSテレ東で連日放送。中継キャッチフレーズは「新時代の、目撃者になる。」
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)