収益は個人アスリートで過去最多 欧州移籍の23歳サッカー選手、トークン発行の理由
J2の徳島ヴォルティスに所属していた渡井理己が今夏、ポルトガルのボアヴィスタFCに期限付き移籍した。テクニックに優れる23歳MFの欧州挑戦に大きな注目が集まる。
徳島から今夏ポルトガル移籍のMF渡井理己、4月にはJリーガーで初めてトークン発行
J2の徳島ヴォルティスに所属していた渡井理己が今夏、ポルトガルのボアヴィスタFCに期限付き移籍した。テクニックに優れる23歳MFの欧州挑戦に大きな注目が集まる。
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プレーヤーとしての実力もさることながら、渡井は今年4月にJリーガーとしては初となるトークン新規発行・販売をスタートさせたことで話題となった。
トークンとはブロックチェーン技術を利用して発行されたデジタルアイテム(証)のこと。このトークンを活用し、渡井は新しい形のファンコミュニティを作っていくという。
「渡井プロジェクト」と題されたこのコミュニティの仕組みを簡単に説明すると、渡井が発行したトークンをファンが購入。渡井はその支援金を活用し、様々な活動を行っていくというもの。購入者にはプロジェクト発の投票企画への参加権や、限定イベント・限定グッズの応募ができるなどのメリットがある。つまりクラウドファンディングと仕組みは同じだ。ただしクラウドファンディングと一線を画すのは、トークンは価値が変動するということ。購入者が増えれば増えるほどトークンの価値は高まるため、一方通行の支援ではなく、相互にメリットがあるのだ。
これは株式会社フィナンシェが提供する「FiNANCiE」というサービスで、すでにJリーグクラブをはじめ、多くのスポーツチームが利用している。しかし一個人、しかも現役のサッカー選手である渡井が、なぜこのプロジェクトをスタートさせたのか。
活動のベースにあるのは、渡井がプロ生活をスタートさせた徳島県に対する地域貢献の想いだ。渡井はすでに昨年から「note」のサービスを活用し、自身の情報を発信。その売上金を活用し、地域貢献活動を行ってきた。
「最初は児童養護施設にボールを寄付しました。その時はクラブでも発信してくれましたし、徳島のテレビにも取り上げてもらったので、いろんな方から反響がありました。施設の子どもたちも喜んでくれましたし、手紙ももらったりしたので、やって良かったなと思いましたね」
一方、noteで発信するだけでは、限界を感じる部分もあったという。
「自分が記事を出して購読してもらう形なのですが、それだと一方通行の関係性しか築けないんですよね。やっぱり、多くの人と継続的に関わっていくためには、お金を出してくれる側にもメリットがないとダメだなと思ったんです。コロナ禍でもあったので考える時間はあったし、いろんなやり方を模索しているなか、トークンの話を聞いて、理想に近いものだと感じたので、始めてみることにしました」