日本ラグビー協会新会長は敏腕営業マン ファン拡大へ、盟友率いるリーグと連携強化
リーグワンの玉塚理事長は強い絆で結ばれた盟友
夏のビッグマッチ、フランス代表戦については、ビジネスマンらしい視点でラグビーの可能性を指摘する。
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「7月9日のフランス戦(国立競技場)は5万7011人のお客さんが来ていました。そして、8割以上かな? お客さんが日本代表のジャージーを着て、試合では『リーチ!』というかけ声を出している。やはりラグビーファンって、かなりいるんだなと思いました。6月に同じ国立競技場で行われたサッカーのブラジル代表戦(の観衆)が6万3000人くらい。聞いてみると、1人あたりの単価チケットは3700円。フランス戦だと1万600円を超えているんですよね。そういうお客さんが、今は40万人と言われている少ないファンしかいないけれど、存在している。これを広げる仕事を、どう協会とリーグワンが一緒にやっていけるかが私の仕事になる。会長就任を引き受けた大きな理由の1つは、リーグワンを孤立させないことですから」
2019年W杯での躍進もあり、日本代表の関心度、そしてCM起用など収益力は飛躍的に伸びている。代表戦のチケット収益や放映権、そして代表へのスポンサー支援を見ると、日本代表はラグビー界では数少ない優良コンテンツと考えていいだろう。しかし、ラグビー自体が事業性を高めていくためには、国内リーグの成長は無視できない課題だ。
今年1月に開幕したリーグワンは、公益財団法人である日本ラグビー協会とは別の一般社団法人のため、発足前からの事業展開で協会との連携が不十分な部分もあった。両法人の間で、どこまで関与するべきか、しないかというギャップがあったのだろう。新会長のインタビューからは、この2つの法人の“間隙”を埋め合わせ、昨季以上に強くリンクしてリーグを運営していこうという意欲が滲む。その背景には同会長自身も協会理事として携わった、スーパーラグビーに参戦したサンウルブズの反省もある。
「サンウルブズの時を見ると、チーム側に任せすぎて協会と一枚岩になっていなかった。様々な理由で、残念ながらサンウルブズは解散してしまったが、リーグワンはそうはいかない。だからこそ、僕らで理事長に玉塚を選んだのです。(協会とリーグワンが)一緒になってやっていくために、僕も会長を引き受けた」
1月に「THE ANSWER」が独占インタビューしたリーグワンの玉塚理事長は、慶應義塾大4年の大学選手権決勝で、土田会長の同志社大と死闘を繰り広げた。同じバックローだった2人は、今でも永遠のライバルであり、強い絆で結ばれた盟友だ。2015年から理事として協会の運営に携わってきた土田氏の頭の中には、玉塚理事長の経営者としての手腕(現ロッテホールディングス社長)と同時に、学生時代からの信頼できる盟友と協会・リーグでタッグを組むことで、事業を推し進めようというシナリオがあった。