絶望的な大怪我から7年 「引退も覚悟した」今季、36歳バスケ選手が悲願のB1に初挑戦
7シーズン目を迎えるバスケットボールBリーグで、初めてB1へ昇格するファイティングイーグルス名古屋(FE名古屋)が、7月15日に始動した。そのなかでひと際、感無量で新シーズンに臨んでいるのがPGの宮崎恭行だ。前身の豊通ファイティングイーグルス時代から在籍17シーズン目となる36歳は、選手生命が危ぶまれる大怪我をし、リハビリをしながらBリーグ誕生を迎えた経験を持つ。絶望しても、泣いても、あきらめず、ついにB1の舞台で戦う権利を手に入れた。
FE名古屋で在籍17シーズン、ベテラン宮崎恭行が初めて立つB1のコート
7シーズン目を迎えるバスケットボールBリーグで、初めてB1へ昇格するファイティングイーグルス名古屋(FE名古屋)が、7月15日に始動した。そのなかでひと際、感無量で新シーズンに臨んでいるのがPGの宮崎恭行だ。前身の豊通ファイティングイーグルス時代から在籍17シーズン目となる36歳は、選手生命が危ぶまれる大怪我をし、リハビリをしながらBリーグ誕生を迎えた経験を持つ。絶望しても、泣いても、あきらめず、ついにB1の舞台で戦う権利を手に入れた。
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「そこに触れられると泣いちゃうかもしれない……」。明るいムードメーカーの宮崎キャプテンが涙をこらえた。昇格を決めた今年5月のB2プレーオフ準決勝の第2戦、試合後の会見で怪我を克服した感想を聞かれた時だ。約1か月半後、改めてインタビューした時にも「マジで泣いちゃいます。怪我のことを思い出すと」と話す。それだけ絶望の淵にいた。
2015年11月の試合中だった。シュートでジャンプした時に空中でぶつかってバランスを崩し、着地で左膝を捻った。
「なんかプチっと音がしたんで前十字(靭帯)が切れたかなっていう感じだった」
しかし、想像を超える重い症状だった。前十字靭帯断裂だけでなく、半月板損傷、内側側副靭帯損傷などいくつもの症状名の中にあった「膝蓋腱断裂」。膝の専門医から「国内でスポーツ選手がこの怪我から復帰した事例はない」と説明を受けた。
「交通事故とかで挟まれないと切れないような靭帯だそうで、着地でホントに一点に負荷がかかったんだと思います。手術の前に、症例数が10数件と聞いて、この病院でかぁと軽い気持ちだったら、国内でそれだけと知ってヤバいんだなって分かった」
怪我をしたタイミングも痛かった。翌シーズンからBリーグが始まることが決まっていた。当時29歳。出身地の三重県鈴鹿市のミニバスケット、中学で活躍し、バスケット部の強化を始めた名古屋大谷高校へ進んで1年の全国大会で手応えをつかみ、実業団チームに入った。bjリーグのトライアウトを受けたこともあり、「バスケットだけの環境に身を置いてみたい」とプロ志向もあった。ガードを探していた豊通ファイティングイーグルスに誘われて2006年に入団。国内の2部にあたるJBL2で3度のMVPを獲得し、選手として最も輝けそうな年齢でBリーグを迎えられるはずだった。