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ユーススポーツ界に衝撃の研究結果 スポーツの個人競技とメンタルヘルス問題の関係

思い出された昨秋のニューヨークタイムズの記事

 この衝撃的ともいえる結果を目にして、筆者は昨秋のニューヨークタイムズの記事を思い出した。それは多くのプロテニス選手が、テニスをプレーすることによって惨めになっているという見出しで始まるものだった。

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 テニスのようなスポーツは対戦形式で相手を倒す必要がある。さらにプロとしてツアーで各地や国をまたいで転戦することは、アスリートの身体をもってしても過酷だ。また、試合に出場し続けて、結果を積み上げていかなければ、ランキングが下がってしまう。競技結果に伴う報酬の不安定さとそのなかで、コーチを雇用するなどの経費を賄う難しさもある。

 要するに大きなストレスのかかる環境的要因がいくつもあるということだ。

 これは個人スポーツに限ったことではないが、勝者は、過酷な日程のなかで、厳しい競争を勝ち抜いた心身ともに強い選手という表現で称えられる。そして、見る人たちは、苦しさを乗り越えたすばらしい勝者に共感する。プロスポーツ選手は成功すれば大金と名誉を得られる職業であり、ハイリスク、ハイリターンの世界で、それゆえに過酷な環境で競技することは当たり前のことだと多くの人が考えていると思う。

 プロのトップレベルのアスリートが置かれている状況と、今回の調査対象となった子どもたちがプレーする環境は同じではない。しかし、同じ時代の社会に生きて、同じようにスポーツすることはどこかでつながっている。個人競技の魅力を子どもたちが味わえるように、これまで当たり前のことと受け止めてきたエリート選手育成からプロへと続く激しい競争と過酷な環境も見直す必要があるのかもしれないと感じた。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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