1人で3つの「代表」務める現役Jリーガー 宇賀神友弥、埼玉・戸田から始めた異色の挑戦
女子選手の地位向上のために立ち上げた「aim」から「ハイアルチ」へ事業を展開
状況を変えるためのプロジェクト第1弾として三菱重工浦和レッズレディースのGK池田咲紀子、MF遠藤優、MF塩越柚歩の3選手とマネジメント契約。今後は競技の枠を超え、女性アスリートの輪を広げていく考えもある。昨年9月に開幕したWEリーグでは3選手それぞれがホームゲームでチケットを購入し「招待席」とする取り組みをスタートさせ、好評だった。
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男女の差を埋めるため、宇賀神はプロサッカー選手の傍らで代表を務める。
「現役選手がやるからこそ説得力があるはず。もちろん自分にも重圧がかかりますが、それはプロサッカー選手として素晴らしいこと。アスリートを目指す女の子の未来のために立ち上げたプロジェクトです」
さらに今年2022年にもうひとつ、新たな試みをスタートさせた。「ハイアルチ」である。
このトレーニングスタジオでは独自開発した設備で作り出された2500メートル級の山と同程度の“高地状態の空間”で運動ができる。高地のような低酸素状態にいるだけで体に負荷がかかるため、きつい運動をせずとも高い効果を得られるというわけだ。
かつては都内にしか店舗がなかったが、そこで素晴らしさを体感した宇賀神は浦和市内でフランチャイズ経営に参画することを決めた。いずれは地元の戸田市にも2店舗目をオープンさせる青写真を描いている。
宇賀神はJリーガーでありながら、なぜ何足もの草鞋を履くのか。理由は至ってシンプルだった。
「日本のスポーツがもっと盛り上がればいいと思っていますし、世界で活躍する日本人が出てきてほしいと願っています。もう少し具体的な視点で語ると、スポーツで街を豊かにしたいという思いです。僕の場合はまずFC岐阜の選手として岐阜を盛り上げたい。そして地元である戸田市のサッカーやフットサルのレベルが向上し、女子アスリートの地位向上のためにaimが盛り上がり、そのためにハイアルチで画期的なトレーニングができる。
ほかにもスプリントコーチの秋本真吾さんに学んでいるランメソッドはフットボールスクールコーチにも伝えて、それが幼稚園や小学生の子どもたちのトレーニングに落とし込まれています。僕の中ではすべてがつながっています」
言動に一点の曇りもない。これからも活動の幅を広げ、宇賀神友弥だからこそ駆けられるフィールドを見つけていく。
■宇賀神 友弥 / Tomoya Ugajin
1988年3月23日生まれ、埼玉県出身。地元・浦和レッズのジュニアユース、ユースを経て、流通経大に入学。卒業後に浦和レッズに加入した。当時、大学を経由してチームに戻ってきた初の選手となった。在籍11シーズンで、2度のステージ優勝、AFCチャンピオンズリーグ優勝など、主にサイドバックやウイングバックとしてチームに欠かせない戦力として活躍した。今シーズンからFC岐阜に完全移籍。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)