[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

田中希実は「敵なし」ではない 異次元の2冠、その裏で抱えた「孤独、葛藤、恐怖」

7月のオレゴン世界陸上の代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権最終日が12日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた。女子5000メートル決勝では、22歳の田中希実(豊田自動織機)が15分05秒61で優勝。2位だった800メートル決勝終了から75分後のレースで異次元の強さを発揮した。すでに参加標準記録15分10秒00を突破していたため、優勝した1500メートルに続く2冠とともに2つ目の世界陸上代表に内定。強さを見せつけた一方、レースまでの胸の内には「恐怖」が隠れていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

苦しみを乗り越え、5000mを制した瞬間の田中希実【写真:奥井隆史】
苦しみを乗り越え、5000mを制した瞬間の田中希実【写真:奥井隆史】

陸上・日本選手権

 7月のオレゴン世界陸上の代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権最終日が12日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた。女子5000メートル決勝では、22歳の田中希実(豊田自動織機)が15分05秒61で優勝。2位だった800メートル決勝終了から75分後のレースで異次元の強さを発揮した。すでに参加標準記録15分10秒00を突破していたため、優勝した1500メートルに続く2冠とともに2つ目の世界陸上代表に内定。強さを見せつけた一方、レースまでの胸の内には「恐怖」が隠れていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 田中の強さに観衆が沸いた。自身を含め、廣中璃梨佳ら5人が参加標準記録を突破していた5000メートル。3位以内なら内定が決まる中、スタート直後は静かに展開された。田中は廣中と探り合うように先頭を入れ替え。残り800メートルで廣中がトレードマークのピンク色の帽子を投げ捨て、ギアを上げた。田中は食らいついた。

「廣中選手は普段からの取り組みも大事にしていて、レース1本に懸ける気持ちが強い選手。不安もあったと思うけど、絶対に自信を持ってくると思っていた。後ろから見ている時も、背中から絶対的な自信が出ているのを感じました」

 2人の優勝争い。「私も自信を持って臨まないと申し訳ない」。残り400メートルで先頭に立つと、一気に置き去りにした。800メートルからわずか75分後にもかかわらず、驚異の激走。スタンドからどよめき交じりの歓声が上がった。約5秒半をつける貫録の勝利。苦しみを味わったもの同士、フィニッシュ後に抱擁を交わし、健闘を称え合った。

「今年度で一番いいレースができた。1500メートルも、5000メートルも即時内定をもらうために背水の陣だった。ここまでは、ラストだけ良いというレースしかできていなかった。世界で通用するのか、ハイペースになった時に潰されないペースを保てるのか、一人で走っても押し切れる強さを出せるのか。いろいろ考えてきた中、最低限出し切ることができたのは嬉しかったです」

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集