「パリ五輪」&「世界8強」へ挑戦 ラグビー女子日本代表、強化責任者が語る勝負の1年
15人制は10月のRWCでの「世界トップ8」が目標
10月のRWCプールBで日本が対戦するのは、カナダ(ランキング4位)、アメリカ(同6位)、イタリア(同8位)と日本より上位の相手ばかりだ。今回対戦するオーストラリアは、まさにカナダ、アメリカと同等の力を持つチームと位置づけられる。そしてランキングでは日本より下のフィジー代表だが、そのメンバーが参加するチーム「フィジアナ・ドゥルア」が、オーストラリアで行われている女性版スーパーラグビー「スーパーW」で、今季初参戦ながら全勝優勝を果たしている。マッケンジーHCも「今回のフィジー代表は、スーパーWと同じようなメンバーで来るでしょう。男子チームとも数か月間一緒に準備をしてきたと聞いているので、非常にチャレンジングなテストマッチになるのは間違いない」と、その急成長を警戒する相手だ。
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今遠征の3試合では、RWC本大会レベルの強度を体感して、10月の本番へ選手、チームにさらなる成長を促すのが狙いになる。そのため、テストマッチ3試合を行った昨秋のヨーロッパ遠征より4人増の38人という大所帯の編成を組んで、より多くの選手に国際レベルの経験値を与え、RWCへ向けたメンバー選考にも役立てていく。
遠征メンバーには9人の2桁キャップ保持者がいる一方で、ノンキャップ選手も10人が選ばれた。首脳陣は10月の本番へ向けて新たな戦力にも注目しているのだ。マッケンジーHCは選手選考について、「昨秋のヨーロッパ遠征とも共通しているが、国内合宿では誰が自ら手を挙げて立候補するような気持ちで臨んでくれたかが分かった。新しい選手を遠征に連れていくことに、わくわくしています」と、RWCへ向けたセレクションでは、代表に選ばれたい、本大会に出場したいという強い気持ちを重視していることも明かしている。
さらにオーストラリアでは、実戦以外の強化策も準備した。コロナ感染対策の影響もあり、日本との行き来が難しかった現地在住のコーチにスポット参加を要請。浅見副会長は、「セットプレーなどに関しては、まだまだ選手のスキルを向上させていく必要があるので、今回は何人かのコーチを呼ぶことにしました。スクラムは良くなってきているがラインアウトは課題があるので、そこはしっかりとスポットコーチを入れてやりたかった」と、日本代表の課題に応じた指導者を招いての強化に取り組んでいる。
今回の遠征も、すべてはRWCで結果を残すためのものだが、浅見敬子副会長は本番で日本代表が目指すものを、こう語っている。
「15人制はトップ8が目標です。現在の日本代表のランキングは12位。以前はずっと16位くらいにいたが、2019年の遠征での成績などで過去最高の位置にきています。前回のワールドカップ(2018年/アイルランド)は12チーム中11位でした。日本代表がいい試合をしたイタリア戦で勝てていたら一つ上の順位争いができたので、今回はどうしても予選突破したいという思いです」
注目されるRWCでの優勝争い、そして日本代表の展望については「イングランドが飛び抜けている印象で、追う形でニュージーランドがいるが、最近はあまりいい状態ではなかった。(イングランドの)牙城は固そうな感じはしますが、私たちはその下のグループで、しっかり結果を残したい」と、8強入りを果たしての世界ランク1桁入りをターゲットに据える。