信念を曲げた久保竜彦が決めた埼スタの劇弾 18年前のあの瞬間、舞い降りたジーコの顔

「日向小次郎のシュート」に憧れ、田んぼで磨いた強いボール
名前にちなんでつけられた愛称は「ドラゴン」。その名のイメージが示す通りに豪快なシュートを好んでいた。プレースタイルの原点は幼少期に出会ったサッカー漫画のキャプテン翼だ。
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「小学生の時にキャプテン翼を読んで、GKを吹き飛ばす日向小次郎のシュートを打ちたいと思ったんです。日向小次郎は荒波に向かってシュートを打って鍛えていました。自分が住んでいたところには海がなかったので、水を吸って重くなったボールを田んぼで蹴って特訓していました。あとはポストに当たってボールが破裂するシーンも好きでした。どれだけ強いボールを蹴れるかにこだわっていたんです。でもジーコに言われました。『GKは吹き飛ばせないから』って(笑)。自分はどうにかしてGKを吹き飛ばしたかったんですけどね」
師の教えと反復練習が日本を窮地から救う貴重なゴールに結びついた。
前途多難に思われたW杯予選だったが、日本は勝負強さを発揮する。翌年の最終予選でも僅差の接戦を制していき、ドイツW杯本大会行きの切符を手にした。2002年日韓W杯でベスト16に進出した次の大会とあって、ファンのみならず日本国民からの大きな期待を背負うことに。
だがドイツW杯の舞台に久保の姿はなかった。
持病の腰痛と膝痛を抱えたままプレーを続けた代償は大きく、体が悲鳴を上げてしまった。2005年頃からはさまざまな治療法に加えて断食を採り入れるなど、手は尽くした。少しずつ状態が回復し、W杯イヤーには代表復帰も果たしている。
ただし、ベストコンディションに戻るには至らなかった。
「アホだったなと思いますよ。あれだけ遊んでいても結果を残せるような体と選手ではなかったということでしょう。外国人とは違う日本人なので、本当に上を目指すなら体調管理やケアをしっかりやらないとダメ。自分は全然やっていなかった(苦笑)。でも後悔はしていないです。楽しかったから」
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