「あのFKが入っていれば…」 三都主の記憶に刻まれる、日韓W杯トルコ戦の残像
「もしあのFKが入っていれば、結果も変わって、次の試合も出られたかも…」
ようやくチャンスが巡ってきたのが、決勝トーナメント1回戦のトルコ戦。フレッシュな力が要ると考えたトルシエは、三都主をスタメンで送り出した。
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「最初の10分間くらいは、ゲームに入っていけなかった。でもそれからは自分でも仕掛けて、良いリズムが出てきたんです」
早くも前半12分にトルコが先制。だが日本も同42分、中央左寄り、絶好の位置でFKを得た。
「あの位置から蹴ることはあまりなかった。でもなぜか自信が溢れ出てきて、どうしても蹴りたいと思ったんです。伸二(小野)もヒデ(中田英寿)もいたけど、ちょっと蹴らせて、と頼みました」
コースは、ほぼ完璧だった。ところがボールはクロスバーを叩き、枠の外側へとはねた。
「いろいろ考えましたよ。もしあのFKが入っていれば、結果も変わって、次の試合も出られたかもしれない……」
なぜかトルシエ監督は、三都主を前半で交代。日本はそのまま0-1で敗れた。
しかし、その後三都主はジーコ監督に左サイドバックとして重用され、最終的には当時歴代4位の日本代表82キャップを記録するのだった。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)