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高校運動部の「自主的な行動」とは何か 体操部廃止に米国の高校生が実施した抗議とは

一連の行動は「自分の行動に責任を持つことを学んだ高校生の姿」

 ローレンス高校には、生徒の力によってものごとを変えていく、という伝統がある。1960年代から70年代にかけては公民権運動にかかわり、黒人の教師を採用すること、黒人の生徒のチアリーディング部への入部を認めること、アフリカ系米国人の歴史の授業を行うことを、学校に求めて勝ち取ってきた。このときの座り込み活動の様子は、学校の壁画になっているという。

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 ローレンス高の新聞部は、生徒会の共同会長であるサム・ロペスさんに取材。抗議活動の最後にロペスさんは、「ここに来てくれた皆さんに感謝します。今日、皆さんが帰るときには、自分が役に立ったと感じてほしいと思います」と話し、抗議活動を許可した校長にも感謝したという。

 現時点で、学区の予算は成立しておらず、体操部の処遇は、まだ、決まっていない。年明けの学区のミーティングでは、体操部廃止を求めて、コーチ、部のキャプテン、保護者の1人が廃部案へ異議を申し立てる短いスピーチを行った。

 キャプテンの話はこのようなものだ。「8歳のときから学校外のクラブで体操をしており、週に15~20時間練習していたこともあって、高校入学時には燃え尽き状態にあった。しかし、高校の体操部に入ったことで、学校の様々な他の活動にも参加するようになった。これらの活動によって友人を作ることができ、自分を律することを身につけ、自信をつけた。学校での活動がなければ、ナショナルメリットの生徒(成績優秀者に与えられる奨学金制度)にはなれなかったと思う」。

 アメリカの運動部は、前述したように練習の内容や時間、試合の選手起用などについては、子どもたちが自主性を発揮する場面はあまりない。しかし、体操部の廃止危機に、部で結束するだけでなく、生徒会や新聞部とつながり、平和的手段で抗議を行い、意見を主張した。これらの一連の行動は、課外活動を通じて、自主的に他の部や生徒会と連帯し、自分たちの行動に責任を持って抗議することを学んだ高校生たちの姿ともいえるのではないだろうか。

 ちなみに、ローレンス高校新聞部の部員のひとりは、今年度のカンザス州内で最も優秀な高校生記者に選ばれている。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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