高校運動部の「自主的な行動」とは何か 体操部廃止に米国の高校生が実施した抗議とは
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「高校運動部の自治・自主精神」について。
連載「Sports From USA」―今回は「高校運動部の自治・自主精神」
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「高校運動部の自治・自主精神」について。
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日本では、運動部活動の教育的意義として、自治の力を育むことが挙げられている。
平成30年3月のスポーツ庁による「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」でも、教育的意義として「自主性、協調性、責任感、連帯感などを育成する」という文言があり、運動部活動は、学校教育が目指す「生きる力の育成」の実践の場とみなされている。
運動部活動における自治や自主性という言葉は、具体的にはどのようなものだろうか。中学校や高校では、生徒たち自身が運動部の活動方針を決め、生徒が練習時間や練習の内容も考えるというものかもしれない。
アメリカにも学校に運動部がある。日本からみれば意外なことかもしれないが、生徒たちが運動部の活動方針を決めたり、練習時間を決めたりしている様子は、ほとんど見受けられない。活動理念は学校がハンドブック等で明文化して示しており、練習時間や内容、試合でどの選手を起用するかなどの戦術面も指導者に裁量権があることが多い。例えば、メジャーリーガーを多く輩出している大学野球でも、投手と捕手の間で配球を決めるのではなく、ベンチからコーチが指示を出していることが一般的だ。
では、アメリカの学校運動部は、自治の能力を育てて、発揮する場がないのだろうか。カンザス州ローレンス高校とローレンスフリーステート高校で起こったケースを取り上げる。