スノボの天才少女から17歳メダリストへ 村瀬心椛に「僕が恵まれた」とコーチが言う才能
村瀬を指導してきた8年の日々は「僕が恵まれていた」
それでも日本勢として、この種目で初めてとなる銅メダルを獲得した村瀬。阪西コーチの目に、今大会の女子ビッグエアの戦いはどのように映ったのか。毎シーズン行われるワールドカップ(W杯)やXゲームで、その進化の過程を見てきているが、改めて「4年前(の平昌五輪)に比べてレベルが上がっていた」ことを実感したという。
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その代表例が、日本の岩渕麗楽(バートン)が決勝の3回目で見せた、縦に3回転する女子最高難度のトリプルアンダーフリップ。「もちろん、みんな大会でやる以上の技は練習しているんです。それを本番で出せるところまで完成度を持っていけたかどうか」とし、今後はさらにハイレベルな戦いになっていくことを予想している。
「やっぱり、いろいろ考えていますね。この先、どうやって戦っていくか、どういう技があったほうがいいか、もっとこういうやり方をしたほうがいいんじゃないかというところは、自分なりに結構考えてはいます」
ビッグエアにおける日本女子選手のレベル、技のクオリティは間違いなく高まっている。そのなかで村瀬が日本の女子選手として冬季五輪史上最年少、そして同種目で初の銅メダルを獲得したことは「歴史に名を刻んだ感じ。スノーボードの歴史に名前が載るくらいの快挙だと思います」と称え、コーチとして関わってきた約8年の日々をこう振り返った。
「僕が恵まれていたのかなと思います。こういう才能のある選手に会い、教えられるチャンスというのはかなり少ないものだと思いますし、コーチという仕事も選手に方向性を示したりするようなものだと思うんです。だから自分が教えて感慨深いというよりも、成長していく手伝いをさせてもらったくらいの感じですね」
“天才少女”は大怪我を経験しながらも、高みを目指して技術を磨き続け、五輪メダリストとなった。17歳という年齢を考えれば、スノーボーダーとしての伸びしろはまだまだある。W杯やXゲームなどの戦い、そして4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ向けて、金色に輝くメダルを手にするための道筋は、すでに頭の中に描かれているのかもしれない。
(THE ANSWER編集部・谷沢 直也 / Naoya Tanizawa)