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浅田真央が新たな伝説を作った日 失意のSP16位から復活、過去最高点で“恩返し”の涙

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

2014年ソチ五輪、女子シングルフリーを滑り終えた後に笑顔を浮かべた浅田真央【写真:Getty Images】
2014年ソチ五輪、女子シングルフリーを滑り終えた後に笑顔を浮かべた浅田真央【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#70 「フィギュアスケート五輪激闘譜」2014年ソチ五輪・女子シングル編

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

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 今回は過去3大会の激闘を振り返る「フィギュアスケート五輪激闘譜」、2014年ソチ五輪の女子シングル編だ。バンクーバー五輪での浅田真央とキム・ヨナ(韓国)の対決から4年。悲願の金メダルを目指して再び五輪のリンクに立った浅田だったが、試練に直面する。女子ショートプログラムでミスが続き、まさかの16位スタート。ショックを隠し切れない様子だったが、日本フィギュア史に残るスケーターはこのままでは終わらなかった。覚悟を決めたフリーで3位となる好演技、そして4年前とは異なる涙と笑顔を見せた。(文=松原 孝臣)

 ◇ ◇ ◇

 これほど劇的な展開を予想できただろうか。2014年、ソチ五輪で見せた浅田真央の演技には、改めてそんな思いが浮かび上がる。

 バンクーバーに続く2度目のオリンピック出場となった浅田は、ソチで3つの演技を披露した。だが、その立ち上がりは苦しい展開が続いた。

 最初の種目は団体戦のショートプログラム。チームのためにと臨んだが、トリプルアクセルが成功せず、3位という結果で終えた。その後、期間が空くことからアルメニアに渡ると、練習を重ねて再びソチに入り、個人戦でのショートプログラムを迎える。

 そこでさらなる苦境に立たされることになった。トリプルアクセルで転倒し、トリプルフリップも回転不足となった上に、コンビネーションジャンプも入らなかった。団体戦より実力を出し切れない滑りで終えた。

 結果、16位。過去にない成績にとどまる。

「何も分からないです」
「自分の中の考えも身体もまったく動かなかったです。滑っていて、いつもの練習のような状態にならなかったです」

 試合を終えての言葉、生気を失ったような表情にも、ショックの度合いはありありと窺えた。いったい何が起こったのか……。誰もが信じられないものを目にしたような心境に陥った。

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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