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日本中が注目した浅田真央とキム・ヨナ 涙の銀メダル、口を突いた「悔しい」の真意

五輪翌月の世界選手権でキム・ヨナに雪辱

 それでも成し遂げた功績は、色褪せるはずもなかった。しかも苦しんだ末に辿り着いた成功だ。4年前、軽々とトリプルアクセルを跳んでいた浅田は、身体の成長とともに跳び方の修正を余儀なくされた。それは容易なことではなかった。この五輪シーズンも前半からアクセルが決まらず、苦しんだ。

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 それを克服しての、バンクーバーでの成功だ。「まだ早すぎる」ともしばしば言われた重厚感のあるラフマニノフの『鐘』を、自分の表現としてこなした滑りも見せた。

 だからこそ、銀メダルに終わったことよりも完璧な演技で彩ることができなかったのが、自身のベストパフォーマンスではなかったことが悔しかった。

「予想していたよりもすごく、悔しさの方があります。この舞台に、もう一度戻ってきたいです」

 早くも2014年のソチ五輪を目標とすることを掲げた浅田の悔しさは、その翌月、一つの成果をもたらすことになる。イタリア・トリノで行われた世界選手権でキム・ヨナを破り、2年ぶり2度目の優勝を果たしたのである。

 4年に一度の大舞台での疲労をものともせず、次へと目を向けてスタートを切った浅田だからこそだった。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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