極寒の「手作りリンク」から五輪へ 新濱&森重を育てた“酪農王国”にある少年団の情熱
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載する。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#57 別海町の恩師が語る2人の少年時代
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直近の五輪2大会でメダルなしに終わっているスピードスケート男子で、注目を集める2人がいる。ともに12日に行われる500メートルと、18日に行われる1000メートルの2種目の代表に選ばれた新濱立也(高崎健大職員)と森重航(専修大学)。500メートルの日本記録保持者である25歳の新濱は“エース”として、今シーズンの同種目でワールドカップ(W杯)初優勝を飾るなど絶好調の21歳・森重は“新星”として、初の五輪に臨む。
そんな2人には「種目」と「初の五輪出場」以外にも共通項がある。それは北海道別海町の生まれで、少年時代に同じ「別海スケート少年団白鳥」に所属していたことだ。少年時代の新濱と森重を、監督として指導した小村茂さんに話を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・谷沢 直也)
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新濱と森重が生まれた別海町は、オホーツク海の先に北方領土を望む北海道東部に位置する町だ。人口は約1万5000人、東西61.4キロ、南北44.3キロという広大な面積を誇る町は、内陸の丘陵地帯に10万頭を超える牛が飼育されており、生乳生産量日本一を誇る“酪農王国”として知られている。
そんな北海道らしい大自然に囲まれた町には、寒さの厳しい冬に“手作り”される町営の屋外スケートリンクがある。そこを拠点に活動しているのが、新濱と森重が小・中学生時代に所属した「別海スケート少年団白鳥」だ。
「2人とも地元に帰省した時、必ずウチの少年団に顔を出して子供たちと交流してくれる。スーパースターというより、本当に身近な存在の親しいお兄ちゃん。そういう2人が世界の第一線で活躍しているというのは、今の小中学生にとっても嬉しくて、頼もしい存在になっていると思います」
そう語るのは小・中学生時代の新濱と森重を指導し、現在も同少年団の監督を務めている小村茂さん。別海スケート少年団白鳥は、1981年に当時教員だった楠瀬功さんが立ち上げ、地元出身の小村さんはその時にスケートを教わった1人。その後92年に就職のため別海町に戻った時、子供たちの指導を手伝うことになり、37歳で監督となった。