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羽生結弦が“究極の二兎”を追う理由 必然の4回転アクセル挑戦と五輪3連覇への覚悟

次なる「王様のジャンプ」として4回転アクセル挑戦は自然の流れ

「アクセルは王様のジャンプ」と恩師の都築章一郎氏に言われて、ジャンプの基礎を叩き込まれて育った羽生にとって、前向きに跳ぶ唯一のジャンプに伴う恐怖心よりも、王様のジャンプであるアクセルを自分の得意なジャンプにして武器とすることに邁進し、磨き上げることには、むしろ喜びを感じて取り組んできたに違いない。

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 そうして究極の比類なき3回転アクセルを完成させて武器にし、世界のトップスケーターにまで上り詰めた羽生が、「夢の舞台」で2度頂点を掴んだ先に、次なる「王様のジャンプ」として4回転アクセルを習得するチャレンジを掲げたのは当然の流れだったと言えるだろう。

 しかし、平昌五輪の翌シーズンには習得できると思って取り組んでいたという超大技は、そう簡単なジャンプではなかった。この4年間、ひたすらに、ずっと4回転アクセル習得の練習と探求に費やしてきたことは言うまでもない。それでも、「自分が設定した期限よりも明らかに(習得が)遅れていっているので、こんなにやっているのに、できないのに、やる必要あるのかな、みたいな。これで辞めてもいいんじゃないかな」と限界を感じて一時断念する気持ちも湧いたが、「やっぱり降りたい」という自分を受け止めたという。

 シーズン序盤で怪我をして、出場できた試合はまだ国内の1大会だけ。今季初の国際大会がぶっつけ本番の北京五輪となるが、飽くなき挑戦者であり、負けず嫌いの羽生にとって、「五輪は発表会じゃない。僕にとっては勝たなきゃいけない場所」なのだという。だから、94年ぶりとなる五輪3連覇にも、当初は五輪に行くことは考えていなかったが、しっかりと照準を合わせて見据えている。

「2連覇を失うことは確かに怖い。今のところ、負ける確率のほうが間違いなく平昌より高い。ただ、代表ジャージを着てみて、『ああ、これが五輪だな』と思い、これは勝ちにいくんだな、勝ちにいかなきゃいけないんだと改めて思いました」

 男子シングルは今や、フリーで4回転4種類5本の高難度構成の時代を迎え、このハイレベルなジャンプ構成を制する者が金メダルに最も近いと目されている。4回転アクセルと比べて基礎点で1点少ない4回転ルッツ(11.5点)と、さらに難度が下の4回転フリップ(11.0点)を駆使して五輪王者を虎視眈々と狙う全米選手権覇者のネイサン・チェンや宇野昌磨らが、羽生の3度目の偉業を阻止しようと挑んでくることは間違いない。

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