愛される天然キャラ、モーグル堀島行真の素顔 大学の恩師が明かした“退学危機”の秘話
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載する。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#18 中京大学で名前通りのまっすぐな学生生活
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北京五輪のフリースタイルスキー・男子モーグルが5日に行われ、堀島行真(24歳/トヨタ自動車)が銅メダルを獲得した。4年前の平昌五輪は、本命視されながら11位。リベンジを目指した4年間で、ひと回りもふた回りも成長した。中京大学時代の恩師・來田享子さん(同大スポーツ科学部教授)は「とにかく真面目な学生」と話し、秘話を明かした。(取材・文=水沼一夫)
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スキー競技部の部長として、堀島を4年間指導した來田さんは「とにかく真面目ですよね。自分を追い込みすぎないでほしいと思うことのほうが多かった。挫折なんか感じている暇がないくらい真面目。そういう印象がある」と話す。
アスリートには熱さを前面に出すタイプと、芯の強さはあっても穏やかなタイプがいるという來田さん。堀島の場合は、紛れもなく後者だった。入学した当初は「優しさがトップアスリートになっていく時のハードルになる可能性もあるかもしれない」との心配もよぎったほど。「字がすごくきれいなんですよ」とレポートでも誠実な性格がにじみ出ていた。
名前の由来は、真実の「真」から取り、真実に向かってまっすぐ行ってほしいとの願いが込められる。学生生活もその言葉通りだった。
堀島が入学したのは競技スポーツ学科。中京大学は五輪代表であっても学業との両立を重視し、“アスリートである前に学生”との教育方針だった。來田さんは入学前に「選手が先にあるんだったら、それは大学に来るべきじゃない」と伝えた。
堀島も可能な限り学校に行き、競技との両立に励んだ。冬は遠征続きで国内にいない日も多い。与えられた課題に取り組む一方で、「五輪に関する勉強は一生懸命やっておきたい」と言って授業資料を読み込んでいた。授業の欠席届も遠征前に提出し、來田さんは「緻密な学生だった」と振り返る。
平昌五輪で敗北し、帰国後は「孤独に練習ができる場所」を求めて、自身と向き合う時間もあったという。部内では後輩の面倒見もよく、慕われる存在だった。