羽生結弦、一人でリンクの空気を変える風格 全日本公式練習で目撃した本田武史の証言
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#16 本田武史の「北京五輪展望」第2回
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。
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羽生結弦(ANA)、宇野昌磨(トヨタ自動車)、鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)が出場する男子シングルは、今大会もメダル獲得の期待が高まっている。本番を前に1990年代後半から2000年代前半にかけて活躍し、五輪にも2大会出場したプロスケーターの本田武史氏をインタビュー。今回は五輪3連覇を目指す羽生について。怪我からの復帰戦となった昨年12月の全日本選手権での演技を振り返るとともに、リンク外で感じた五輪王者として放つオーラが印象に残ったという。(取材・文=松原 孝臣)
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北京五輪で、フィギュアスケートファンの枠を超えて広く注目を集めるのが羽生結弦だ。
ソチ、平昌大会を連覇し3連覇のかかる羽生は今シーズン、右足首の怪我の影響により、グランプリシリーズを欠場。昨年末の全日本選手権がシーズン初戦となり、優勝で復帰戦を飾ったが、本田武史はこれまでの五輪のなかで「一番ベストな状態でいけるんじゃないか」と語る。
「(ソチの頃と比べて)ジャンプの技術的なところは、跳び方もフォームも細かい修正はあったと思うけれど、大きく変わっているようには見えません。それよりも4回転アクセルに挑戦することで筋力がついてきていて、ひと回りもふた回りも筋肉質になっています。それが4回転トウループや4回転サルコウの安定感につながっていると思います。ソチの時は19歳、今はもっと自分自身を理解している。また平昌大会は怪我があるなかでの演技でした。今回も怪我がありました。右足首の負担も大きいし、靭帯も緩くなっていると思いますが、筋力で補っている。ジャンプの質とか滑りの余裕など総体的に考えると、北京が一番ベストな状態でいけるのかなと思います」
その根拠の一つとなるのが、全日本選手権での演技だ。
「まずショートプログラムですが、曲名が発表されて、バイオリンの曲だと思いました。でもピアノ曲で、まったく雰囲気の違うものになっていました。音の部分、振り付けもこだわっているのが感じられました。完成度としても、どこもマイナスのつく要素がなかったですね。
(フリーは)初戦でもあったし、代表の選考会でもあるので、全体的にスピードは抑え気味な感じはありました。ジャンプは4回転からのコンビネーションジャンプ、後半のジャンプも含め質が高かったですね」